3 地方議会議員年金制度の改正

 昭和37年12月にスタートした地方議会議員の年金制度は、地方議会議員の実態や社会経済情勢に即した数次の改正が行われました。

(1)一時金制度の創設(昭和40年改正)

 地方議会議員の中には、退職年金の最短受給年限である12年に達する以前に退職する者が多数いたことから、多額の掛金が掛け捨てになっているとし、全国都道府県議会議長会等関係団体の政府、国会議員に対する要望を受け昭和40年の第48回国会において、これを救済すべく法の一部改正(昭和40年6月1日法律第103号)において、地方議会議員の年金制度に新たに退職一時金及び遺族一時金の制度が加えられ、同年6月1日から実施されました。なお、この一時金制度の創設に伴い一時金給付の原資に充てるため、掛金率が標準報酬月額の100分の2引き上げられ100分の7となりました。

(2)給付に要する費用の公費負担導入(昭和46年改正)

 共済給付金(退職年金、公務傷病年金、遺族年金、退職一時金、遺族一時金)の給付に要する費用については、前記のとおり制度創設当初から会員の掛金をもって充てることを原則とし、掛金のみで賄えない場合には不足する分について地方公共団体が負担するということが法の趣旨であったものの、実現していませんでした。しかし、昭和46年の統一地方選挙により大量の受給者が発生したこともあり、議員年金財政が急激に悪化し、制度存亡の危機を招来しました。そこで、議員年金財政健全化のため、昭和46年の第67回国会における法の改正(昭和46年12月14日法律第119号)において、給付に要する費用の地方公共団体の負担の適用、いわゆる公費負担制度が実施されることとなり昭和47年4月1日から施行されました。

 この公費負担制度の実施に際し、会員の掛金率も標準報酬月額の100分の7から100分の9へと引き上げられました。また、退職年金の算定の基礎となる標準報酬年額も退職前3か年の平均とされました。

(3)年金額の物価スライド改定導入(昭和49年改正)

 昭和49年の第72回国会における「昭和42年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律」(昭和49年6月25日法律第95号)の成立により、昭和41年の第51回国会における法の一部改正において追加された年金額の改定宣言規定(法第158条の2「共済会の行う年金である給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応じるため、すみやかに改定の措置が講じられなければならない。」)が昭和49年9月1日から実施されました。

 第1回の年金額の改定は、昭和44年5月31日以前の退職者で昭和49年8月31日現在の受給者に適用され、同年9月分以後改定が行われることとされ、改定額の算定は、受給者が引き続き昭和44年6月1日(基準日)まで在職したならば基準日の属する月に受けることとなる標準報酬月額と昭和37年12月1日現在の標準報酬月額の1.5(改定率)倍を比較していずれか低い方の額に改定されるというものでした。

 この年金額の改定措置は、以後毎年のごとく行われていますが、昭和60年の第103回国会における法の一部改正(昭和60年12月27日法律第108号)により、地方公務員の年金改定が行われる年に政令で定めるところにより自動的に年金額の改定措置が講じられることになりました(法第158条の2の改正)。

(4)他の公的年金制度との重複期間に係る控除(昭和49年改正)

 地方議会議員の年金制度は、当初は互助年金という任意加入の私的色彩の濃いものでしたが、強制加入となったことや昭和47年4月から公費負担制度が導入されたことで、準公的な年金として位置付けられることになりました。

 なお、公的年金制度にはすべて国費あるいは公費の負担が行われています。わが国の年金制度では、原則として一人で二つの公的年金に加入することができないことになっていますが、地方議会議員の場合は議員年金のほか自身の職業による他の公的年金にも加入が可能となっています。

 そこで、この公費の二重適用分について調整をするのが「他の公的年金制度との重複期間控除」で、昭和49年の第72回国会における法の一部改正(昭和49年6月25日法律第95号)により同49年9月1日以後における重複期間について、一定割合により控除することとなりました。

(5)標準報酬年額計算方法の改正(昭和49年、平成14年改正)

 退職年金の計算の基礎となる標準報酬年額については、昭和49年の法の一部改正(昭和49年6月25日法律第95号)により退職前3年間の標準報酬月額の総額を36で除し12を乗じた額から退職前1年間の標準報酬月額の総額とすることとされました。

 その後、平成14年の法の一部改正(平成14年法律第37号)により退職前12年間の「平均標準報酬年額」とすることとされました。

 なお、経過措置として平成14年4月以後の地方議会議員の期間が12年に満たない者は、同月以降の在職期間における各月の標準報酬月額の総額を在職月数で除して得た額に12を乗じて得た額とされています。

(6)退職年金の支給開始年齢引上げ(昭和60年改正)

 従来、退職年金の支給開始年齢は満55歳でしたが、国民年金と被用者年金制度、国会議員の互助年金制度において支給開始年齢が満60歳に引き上げられる取り扱いに準じ、昭和60年の第103回国会における法の一部改正(昭和60年12月27日法律第108号)により、地方議会議員年金制度における支給開始年齢も同様に満60歳へと引き上げられました。ただし、改正法が施行される昭和61年4月1日より前に地方議会議員であった者の支給開始年齢は従前どおり満55歳とされました。

 この支給開始年齢の引き上げは平成7年の第132回国会における法の一部改正(平成7年3月31日法律第52号)においても行われ、満65歳へと引き上げられました。ただし、この改正においても改正法が施行される平成7年4月1日より前に地方議会議員であった者の支給開始年齢は従前どおり満60歳とされました。

 また、この改正では支給開始年齢の引き上げに伴う経過措置が設けられ、
@昭和20年4月1日以前に生まれた者は満62歳から支給
A昭和20年4月2日から昭和22年4月1日までの間に生まれた者は満63歳から支給
B昭和22年4月2日から昭和24年4月1日までの間に生まれた者は満64歳から支給
とされました。

(7)特別掛金の導入(平成7年改正)

 上記の支給開始年齢を引き上げる平成7年の法改正においては、被用者年金制度や国会議員互助年金制度等に準じ、共済給付金の給付に要する費用に充てるため、議員年金財政の健全化に資する観点から、新たに特別掛金が導入されました。

 これは、平成7年4月1日以後に支給する地方自治法で定める議員の期末手当額の1,000円未満を切り捨てた額に1000分の5(平成15年4月1日以後は100分の2)を乗じた額を、会員が特別掛金として納付することとされました。

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