地方議会に関する地方自治法改正を踏まえた多様な人材が参画するための環境整備等に関する決議
昨年4月、三議長会が国に要請を行ってきた改正地方自治法が成立し、
○議会は、住民が選挙した議員をもって組織されること
〇議会は、議決により地方公共団体の重要な意思を決定すること
〇議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行うこと
が明文化された。
地方議会は、投票率の低下や無投票当選の増加、議員の性別や年齢構成の偏りなどの課題を抱えており、この法改正を踏まえて、議会とは何かを住民にしっかり理解いただき、女性や若者など多様な人材の議会への参画を一層進めていくことが必要である。
本会は、昨年11月、女性や若手の正副議長などをメンバーとする懇談会を設置し、多様な人材が輝く議会の実現に向けて検討を行い、本年3月、「17の提言」を受けた。
提言では、議会への関心を高めるためには、主権者教育の推進、SNSの積極的な活用など広聴・広報の充実、開かれた議会の実現等に取り組んでいくことが重要とされた。
さらに、多様な人材が働きやすい議会にするためには、議会のデジタル化の推進、育児・介護等と議員活動の両立支援、ハラスメント防止対策の実施などが提言された。
加えて、多様な人材が立候補しやすくするためには、地域の経済団体に立候補に伴う休暇制度を設けるよう働きかけを行うことや、都道府県議会等に関する選挙制度の改革、地方議会議員の厚生年金などの社会保障への加入について国へ要請を行っていくこと等が提言された。
この提言や、昨年7月18日に採択した創立100周年宣言等を踏まえ、各議会は更なる改革に努め議会の活性化を図るとともに、三議長会で連携し、主権者教育の一層の推進、法改正事項に係る国への要請活動などに取り組む必要がある。
特に、厚生年金については、会社員等が議員に転身しても切れ目なく適用を受けることができ、家族の将来や老後の生活を心配することなく議員に立候補するために、早急に検討していかなければならない課題となっている。
人口減少や高齢化など社会を取り巻く環境が更に厳しさを増す中、住民自治の根幹をなす地方議会として、多くの住民の声を集約し、多様な人材が参画するための環境整備等を図るため、特に重要な次の事項について、早急に実現するよう強く求める。
1 議会に対する関心を高め、理解を深める主権者教育を一層推進すること。推進に当たっては、議会自らが主体的に行う、いわゆる出前講座や模擬議会など主権者教育の取組に対する支援を講ずること。
2 議会のデジタル化への取組について技術的・財政的に支援を行うこと。
3 オンラインによる本会議への出席については、第33次地方制度調査会答申で指摘された課題について検証と検討を行い、その実現に向けて所要の措置を講ずること。
4 立候補に伴う企業等による休暇を保障し、不利益な取扱いを禁止するための必要な法改正を行うとともに、厚生年金の適用拡大が進んでいる状況を踏まえ、厚生年金への地方議会議員の加入を実現し、会社員等が議員に転身しても切れ目なく社会保障制度を継続できるようにすること。
5 都道府県議会議員の選挙区設定において、現行制度上、基本的に設定できない市と市の合区について地域の実情に応じてできるようにするとともに、人口が少ない地域の議員定数の確保策について検討を行うこと。
6 議長への議会招集権の付与、予算修正権の制約の見直しなど、更なる議会制度改革を行うこと。
以上、決議する。
令和6年10月31日