6 教育の機会均等と水準の維持向上に向けた取組について
これからの社会の発展を担っていくこども達一人ひとりの能力を最大限に伸ばすためのきめ細かな教育を提供していくことが不可欠である。
このため、初等教育のさらなる充実はもとより、高等教育を受けたいこどもが支障なく受けることができる環境づくりも重要である。
しかしながら、教員の多忙化などが顕在化し、教員がこどもと向き合う時間を十分取れない状況になっている中で、いじめの問題や貧困への対応など学校現場における課題が複雑化、困難化している。
こうした学校が抱える多様な教育課題に対応し、教育の機会均等と水準の維持向上を図るためには、学校教育面での万全の支援を行うとともに、教員不足を解消するための処遇改善、働き方改革などを進め、教職員等を長期的な視点から安定的に確保する必要がある。
一方、教育の場だけでなく、災害発生時には避難場所となる公立学校等における施設の老朽化への対策・安全の確保は、喫緊の課題となっている。
よって、次の措置を講ぜられたい。
(1) 教員採用試験の倍率が低下するなど教員不足が全国的に問題となっていることから、教員の勤務環境が大きく変化している実態等を踏まえ、いわゆる給特法の改正を含めて、抜本的な処遇改善策を講ずること。
併せて、国において地方負担分も含めて必要な財源のあり方を適切に検討し、所要の財政措置を講ずること。
(2) 公立小中学校等における、いじめ・不登校、少人数教育、特別支援教育、生徒の心身へのケアなどの様々な教育課題への対応に加えて、教職員の働き方改革に対応するため、教育支援を行う多様な専門スタッフを十分に確保できるよう支援を充実するとともに、教職員の各種加配を充実すること。
また、中長期にわたり教職員を安定的・計画的に配置できるよう財源措置を講ずること。
(3) 35人学級については、地域の実情に応じた円滑な移行が図られるよう、教職員の確保・質の向上、加配定数の維持等に十分配慮するとともに、中学校まで早期に実現するなど更なる推進を図ること。
(4) 医療的ケアを含めた特別支援教育が必要なこどもの増加を踏まえ、特別支援教育支援員、ニーズにあわせた支援をサポートするコーディネーター、看護師等の適切な配置等に係る支援を充実すること。
(5) 外国籍等の児童生徒に対する日本語指導を充実するため、日本語教師の資格を持つ教員の確保・育成等に取り組むこと。
また、不就学状態にある外国人のこどもが適切な支援を受けられるよう、早急に対応策を検討すること。
(6) 国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金等の財政支援を充実し、地域に貢献している大学に対する支援を行うこと。
(7) 私立高校等の経営健全化や公私間格差の是正のため、私立高等学校経常費助成費等補助金及び私立高等学校等就学支援金制度を拡充するとともに、私立小中学校の授業料負担軽減制度を拡充するなど、私立学校教育の振興を図ること。
(8) 公立学校の施設整備については、設置者が老朽化対策等を計画的に実施できるよう、長寿命化改良事業等の補助要件の緩和や補助単価の引上げを行うなど財政支援を充実すること。
(9) 災害時におけるこどもの安全を確保するため、学校施設の耐震化に係る財政支援を充実するとともに、危険な状態にあるブロック塀の撤去、改修等の通学路等も含めた安全対策に係る財政支援を充実すること。
(10) 令和7年度までを改革推進期間として取組が進められている中学校の運動部活動及び文化部活動の地域移行については、専門性や資質・能力を有する指導者の確保及び経済的に困窮する家庭の生徒に対する会費や保険料等の補助への支援を講ずること。