全国都道府県議会議長会

3 食の安全・安心を確保する制度の拡充強化について

令和6年10月31日 決定

国内外における家畜伝染病の発生、食品の偽装表示事件、また、一部の機能性表示食品による多数の健康被害の発生等により、健康・生命に深く関わる「食」の安全・安心に対する国民の関心は、非常に高いものとなっている。

 このため、生産段階から消費段階にわたる安全確保の取組を一層進めるなど、「食」に対する消費者の十分な信頼を得るとともに安全な食品を供給していく必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 家畜伝染病の発生及び感染拡大を防止するため、発生原因及び感染ルートを早期に解明するとともに、防疫作業に係る資材の広域的な備蓄・供給体制の構築、ワクチン開発に対する支援、殺処分の対象を限定できる分割管理の促進等、防疫・検疫体制を強化すること。

(2) 豚熱の防疫対策については、農場内へのウイルス侵入を防止するための舗装や設備改修等の支援を講ずるとともに、野生イノシシの検査や捕獲、経口ワクチン散布に必要な予算を十分確保すること。

また、ワクチンの確保対策を講ずるとともに、より適切なワクチン接種方法や部分的殺処分に係る研究・検証を進めること。

(3) 高病原性鳥インフルエンザについて、農場における更なる飼養衛生管理の向上や、農場の分割管理に必要となる施設整備・機械導入等に対して十分な予算を確保すること。

(4) BSE安全確保対策について、リスク管理や対策の有効性に関する国民の理解浸透を図るとともに、検査体制の継続に必要な予算を十分に確保し、万が一BSEが発生した場合の対策について万全を期すること。

(5) 家畜衛生、公衆衛生及び産業動物診療等の現場の中核を担う勤務獣医師の職責と業務量が増大する中、その人材確保が全国的な課題となっていることから、現下の公務員獣医師を始めとする勤務獣医師に求められている高度な専門能力と判断力にふさわしい処遇とするため必要な措置を講ずること。

(6) 原産地を的確に把握できるトレーサビリティ制度の構築や、DNA検査や科学的分析体制の強化等、農林水産物の産地偽装根絶のための取組を強化すること。

また、消費者が食品のより幅広い選択ができるよう、外食・中食における原料原産地情報提供についての取組を強化すること。

(7) 遺伝子組換え表示義務対象を拡大するなど、遺伝子組換え作物等の流通に関する制度の拡充・強化を図ること。

また、ゲノム編集技術を利用した食品について、消費者への理解醸成を図るとともに、食品表示等を含めた情報提供の在り方について検討すること。