4 森林吸収源対策及び林業・木材産業の成長発展について
森林は、国土保全のほか地球温暖化防止、生物多様性の保全、生態系の維持など、多面的機能を有している。
特に、「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会」の実現に向けて、我が国の二酸化炭素吸収量の8割以上が森林による吸収量であり、森林への期待が高まっていることから、更なる森林吸収源対策の促進が必要である。
また、国内に成熟期を迎えた森林資源が充実していることに加え、いわゆるウッドショックのような、輸入材の価格高騰や供給不安といったリスクを軽減するためにも、国産材の安定的な供給体制の強化が求められている。
このため、林業従事者の確保・育成、ドローンによる山の形状測定やICT、ロボット等の先端技術の活用による経営の効率化推進など、林業及び木材産業の成長発展に向けた取組が極めて重要となっている。
よって、次の措置を講ぜられたい。
(1) 間伐、路網の整備、伐採後の再造林などの森林整備事業、山地災害の復旧・予防、流木対策や保安林の保全管理等の治山事業を推進するための予算を十分に確保すること。
(2) 「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」に基づく森林の整備等を着実に実施するため、自治体の円滑な事業実施について引き続き必要な助言を行うなど、都道府県や市町村における森林環境譲与税のより効果的な活用に向けた取組を行うこと。
(3) 林業従事者の所得向上や労働災害発生の防止などに取り組むとともに、女性や外国人材も含めた多様な林業及び木材産業の担い手の確保・育成を推進すること。
また、木材加工流通施設の整備、高性能機械の導入、資源・生産管理へのICT活用及び路網整備に対する支援等により、木材の安定的な供給体制の構築と生産性向上を図り、林業及び木材産業を成長発展させること。
さらに、スマート林業の推進にあたっては、現場技能者とメーカーをつなぎ、技術を普及させる人材が重要な役割を担うため、人材の育成、確保に向けた支援を講ずること。
(4) 国産材の更なる需要拡大を図るため、関係省庁と連携して公共建築物や民間の中高層建築物の木造化・木質化、直交集成板(CLT)を活用した建築物の整備、セルロースナノファイバーの研究開発・普及及び木質バイオマスのエネルギー利用等を推進すること。
(5) 海岸防災林は、地域住民の命や財産、生活を守る重要な施設であり、成林するまで長期間を要することから、造成した海岸防災林の保育管理等に要する費用も含め財政支援を充実すること。
(6) 健全な森林の保全及び育成を図るため、松くい虫防除対策やナラ枯れ対策を一層推進すること。