全国都道府県議会議長会

防災・減災対策、国土強靱化の充実強化に関する決議

令和7年7月23日 決定

 我が国は近年、気候変動の影響により自然災害が頻発化・激甚化しており、多くの尊い人命が失われ、全国各地で住民生活の安全・安心が脅かされる事態が生じている。
 令和6年も能登半島地震や奥能登豪雨等により道路・水道等の社会資本等に大きな被害が発生し、人流・物流が遮断され、住民生活や産業に深刻な影響を与える事態が生じたところであり、今後も、線状降水帯による過去に経験したことがないような集中豪雨の被害や、南海トラフ地震や首都直下地震などによる甚大な被害の発生が懸念されている。また、本年1月には埼玉県八潮市において下水道管の破損が原因とみられる道路陥没事故が発生するなど、社会資本の老朽化対策が喫緊の課題となっており、大規模自然災害に備えた強靱な国土づくりに向けた取組を迅速に進め、住民の安全と安心を確保することが急務となっている。
 よって、次の措置を講ぜられたい。

1 資材価格の高騰や建設技能労働者の賃金水準の上昇が続く中でも防災・減災対策、国土強靱化に資する社会資本整備を戦略的かつ計画的に推進するため、「第5次社会資本整備重点計画」を踏まえ、個別の補助金、防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金など必要な予算を安定的かつ継続的に確保するとともに、地方負担分については地方財政措置を的確に行うこと。

2 頻発する大規模自然災害に備えるため、本年6月に閣議決定された「国土強靱化実施中期計画」に基づく土砂災害や地震・津波による被害の防止対策等を資材価格が高騰する中でも着実に実施することができるよう、必要となる予算を通常予算とは別枠で例年以上の規模で確保すること。
  また、地方公共団体が「国土強靱化地域計画」に基づく事業を着実に実施することができるよう、交付金、補助金の重点配分などによる財政支援を充実するとともに、市町村における地域計画の策定に向けた職員に対する研修などの支援を充実すること。

3 緊急浚渫推進事業債及び令和7年度末に期限を迎える緊急防災・減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債について、恒久化及び対象事業の拡大を図るなど、十分な地方財政措置を確実に講ずること。

4 災害に強いしなやかな国土の実現に向けて、災害時の人流・物流における代替性を確保するための高規格道路の整備促進によるミッシングリンクの解消、整備新幹線をはじめとする鉄道の整備促進など、インフラ整備を一層強力に推進すること。

5 道路、河川、港湾、海岸、空港などの社会資本が、災害によって壊滅的な被害を受けることで、資材等の輸送を困難にし、被災地域の早期支援や迅速な復旧作業の妨げとなることから、平時から災害に対する備えとして、耐震化や道路啓開計画の策定などの事前防災対策を推進すること。
  また、埼玉県八潮市の下水道管の破損が原因とみられる道路陥没事故が発生するなど全国的に社会資本の老朽化が進行していることを踏まえ、維持管理と更新を計画的かつ着実に行うために必要な財政措置を講ずるなど支援措置の充実強化を図ること。
  さらに、震災に強いまちづくりのため、庁舎、学校、住宅、上下水道施設及びため池などの耐震診断・耐震改修に係る費用に対する補助限度額の引上げなどの財政支援を充実すること。
  特に、能登半島地震で液状化や上下水道への甚大な被害が発生したことを踏まえ、住宅・建築物の液状化対策の支援を充実するとともに、水道管の耐震化・更新など上下水道一体での基盤強化の取組を推進すること。

 以上、決議する。

 令和7年7月23日

全国都道府県議会議長会