全国都道府県議会議長会

3 ワンヘルスの理念に基づく人と動物共通の新たな感染症への対策の強化について

令和7年7月23日 決定

 世界中で流行し甚大な影響を与えた新型コロナウイルス感染症は、人と動物との間でも感染し、人の感染症のうち約6割を占める人獣共通感染症の一種である。
 このような人獣共通感染症の脅威の増加は、人と動物の生活環境や自然環境が大きく変化し、生態系の健全性が損なわれたことも要因であると言われている。 
 このため、人と動物の健康、環境の健全性を一つの健康と捉え、一体的に守っていくという「ワンヘルス」の理念に基づく医学と獣医学、環境科学等の分野を超えた人獣共通感染症対策の取組が求められている。
 しかし、我が国では、人や家畜の感染症については発生の予防及びまん延防止に関する法制度があるものの、愛玩動物や野生動物の感染症を総合的に調査・監視するための法制度は未整備であり、研究機関も不足しているなど、ワンヘルスの実践に向けた体制整備は不十分である。 
 よって、次の措置を講ぜられたい。


(1) 家畜・家禽のほか、愛玩動物及び野生動物を含む全ての動物の感染症等の調査研究、防疫等を統合して実施できる体制を確立すること。
(2) 人獣共通感染症に対する防疫対策の強化や予防及び治療に関する研究と診療体制の充実並びにこれらを担う人材の育成を推進するため、ワンヘルスの観点から感染症対策を一元的に担う組織体制を強化し、所要の法改正等を行うこと。
(3) ワンヘルスに関わる国際機関や各県の地方衛生研究所等との連携を含めた大きなネットワークのハブとなり、国立健康危機管理研究機構の現場対応機能の一翼を担う「アジア新興・人獣共通感染症センター(仮称)」を早期に整備すること。