全国都道府県議会議長会

3 中小企業・小規模事業者支援の充実強化等について

令和7年7月23日 決定

 令和6年度における企業の倒産件数は、11年ぶりに1万件を超え、物価高騰の長期化や後継者も含めた人手不足等により、中小企業・小規模事業者は、極めて厳しい経営環境にある。
中小企業・小規模事業者は、地域における経済活動や雇用の確保などにおいて大きな役割を担っており、下支えのための各種支援策を実施し、事業の継続や雇用の維持を図ることは、賃上げを起点とした成長型経済の実現のために極めて重要である。
 また、全国各地で多発する自然災害に備えた防災・減災対策を推進するとともに、円滑な世代交代・事業承継に切れ目のない支援を実施する必要がある。
 よって、次の措置を講ぜられたい。


(1) 中小企業・小規模事業者の価格転嫁を促進する取組や大企業と中小企業間における取引の適正化促進、生産性の向上に資するデジタル化への支援を拡充するなど、持続的・構造的な賃上げ及び最低賃金の引上げに向けた更なる環境整備を図ること。
    また、業態の転換、異業種との連携、新たな事業の創出などに対する支援を充実するとともに、地域の中小企業等の支援拠点である商工会等による伴走支援の体制強化を図ること。
(2) 企業が創出する付加価値の増大や生産性の向上を図るため、新たなスキルを学ぶリ・スキリングを可能とする環境の整備、デジタル等の成長分野に関わる人材育成など、「人への投資」を充実すること。その際、地方大学が持つ教育・研究機能の活用を図ること。
    また、雇用の安定や労働者の収入増の実現に向け、中小企業等が正規雇用を維持・拡大するために必要な支援を充実すること。
(3) 令和6年1月1日の能登半島地震により伝統産業や観光産業等に甚大な被害が発生したことを踏まえ、大規模自然災害で被災した中小企業・小規模事業者等への支援はもとより、被災地域や企業の規模・業種等に関わらず全てのなりわいに対し、実情に応じた支援を行うこと。
(4) 経営が不安定となり、疲弊する中小企業・小規模事業者を支えるため、小規模事業者持続化補助金の継続実施等の支援拡充を図ること。
     また、円滑な事業承継を促進するため、事業承継・M&A補助金及び中小企業活性化・事業承継総合支援事業の充実強化を図ること。
(5) 中小企業・小規模事業者の人材を確保するため、若者、女性、高齢者、障害者、外国人など、多様な人材がそれぞれのライフステージ等に応じた柔軟な働き方の下でその能力を発揮できる環境を整備すること。