7 特定地域振興対策等の推進について
過疎地域、山村、豪雪地帯、半島、離島等の地域は、食料、水及びエネルギーの安定供給、災害の発生防止、地球温暖化防止、多様な文化・伝統の継承、良好な景観の形成など多面的な機能を有しており、国民生活に豊かさと潤いを与えている。
しかしながら、これらの地域においては、人口減少、少子高齢化の進行など他の地域と比較して厳しい社会経済情勢が長期にわたり継続していることから、ハード・ソフト両面にわたる総合的な特定地域振興対策を引き続き強力に推進するとともに、十分な財政措置を講ずる必要がある。
とりわけ、地域公共交通の維持・確保は、住民の豊かなくらしの実現や地域の社会経済活動に不可欠であることから、持続可能な地域公共交通の実現に向け、デジタル技術を活用するなど、早急な対応が求められている。
よって、次の措置を講ぜられたい。
(1) 「離島振興法」に基づき、ハード・ソフト両面にわたる総合的な離島振興策を充実すること。なお、有人国境離島については、領土保全という重要な役割を考慮し、特別措置法に基づき保全を図るとともに、雇用機会の拡充、観光振興など地域社会の維持に関する特別な支援を充実すること。
また、離島航路・離島空路の維持・安定化のための支援策を拡充すること。
(2) 本年3月に改正された「半島振興法」に基づき半島における防災対策や物流網の強化など半島振興対策を充実すること。
(3) 「豪雪地帯対策特別措置法」に基づき、道路の除雪、防雪、凍雪害防止など、冬期道路交通対策を着実に推進すること。なお、大雪による高速道路での大規模な車両滞留の解消に長時間を要したことを踏まえ、計画的・予防的な通行規制、集中除雪体制の強化、滞留状況を正確に把握できる体制確保などの対策を講ずること。
(4) 地方バス路線の確保・維持を図るとともに、廃止路線代替バスやスクールバス等の各種バスの一体的運行、公共交通の空白地域における自家用有償旅客運送、コミュニティバス、乗合タクシーの導入に対する支援など、地方の生活交通確保対策を充実すること。
また、運転手など担い手不足の解消や地方における高齢者等の移動手段確保のため、新技術を活用した自動運転の導入など、公共交通の高度化への支援を充実すること。
(5) 自家用有償旅客運送や自家用車活用事業については、安全な運行を前提とし、各地域の実情を踏まえ、移動手段が確保されるよう必要な見直しを行うこと。
また、自家用有償旅客運送については、ドライバーへの報酬や車両の購入・整備に必要な費用等に対する財政支援を講ずるとともに、事故等が発生した場合の責任を明確化する仕組みについて検討すること。
自家用車活用事業については、地域公共交通の経営に配慮し、対象地域、時期及び時間帯などについて地域の実情に応じて見直しを行うこと。