全国都道府県議会議長会

地域経済の持続的な成長の実現に関する決議

令和8年7月22日 決定

 我が国経済は、高水準の賃上げが続き、最低賃金も大幅に引き上げられるなど、緩やかな回復基調にあるが、中東情勢の混乱により、エネルギー価格や石油関連製品の供給への影響が生じ、経済・物価動向を巡る動きを見通すことが難しい状況が続いている。
 こうした不確実性の高い状況にあっても、適切な価格転嫁の促進、持続的・構造的賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、戦略産業クラスターの形成等による経済の好循環を着実に推進し、地域経済全体の持続的な成長を実現していくことが重要である。
 さらに、今後も国際情勢の変化を受けたエネルギー価格の高騰や電力の需給ひっ迫が懸念されることに加え、世界的な食料争奪の激化等により食料安全保障上のリスクも高まっていることから、国民生活や経済活動へ与える影響を最小限に抑えるよう、迅速かつ機動的に対応することが求められている。
 よって、次の措置を講ぜられたい。

1 原油、液化天然ガス等の流通の目詰まりは、地域経済や国民生活に与える影響が大きいことから、今後も安定供給の確保に万全を期すとともに、レアメタル等も含めたこれらの重要物資について、サプライチェーンの強靱化に向けた取組を推進すること。

2 物価高騰の長期化により国民生活が苦しい状況にあることを踏まえ、燃料油価格、電気・ガス料金の全国一律の負担抑制措置、生活困窮者や中小企業・小規模事業者に対する重点的な支援など、地域の実情に応じた機動的な支援策を引き続き実施すること。

3 米国の関税措置については、今後も米国の政策動向を注視し、資金繰りの支援等、地方の産業や雇用等に対する影響を最小限とするための対策を講ずること。

4 地域の実情に応じて産業の競争力強化や付加価値向上等に取り組むことができるよう、戦略産業クラスターの形成や地域産業クラスター等の推進に当たっては、民間投資を引き出す大規模な投資やインフラ整備への支援等の施策を充実すること。

5 中東情勢等により、エネルギー・生産資材の供給不安や価格高騰の影響を受ける農林水産事業者、食品事業者への支援を講ずること。
また、食料安全保障の強化を図る観点から、世界の食料需給がひっ迫し輸入が途絶えた際に、平時に輸出している農産物を国内消費に振り向けることも想定し、農産物の更なる輸出拡大の促進を図るなど、強固な食料供給基盤の確立に向けた対策を講ずること。


6 賃金の引上げについては一定程度なされてきたが、今後も物価上昇が続くものと見込まれることもあり、物価上昇に負けない企業における持続的・構造的な賃上げを促進するための税財政上の支援を充実すること。併せて、最低賃金については、過去最高の引上げ幅となったところであるが、引き続き都市と地方の格差是正に配慮しながら、更なる引上げに向けて取り組むこと。

7 DX及びGXへの対応、AIの更なる利活用、業態転換、新たな事業の創出などの取組に対する支援の強化を図ること。
 また、成長分野への労働移動が円滑に進むよう、働きながら新たなスキルを学べる環境の整備など「人への投資」に係る施策の抜本的強化を図ること。

8 中小企業・小規模事業者の人材を確保するため、若者、女性、高齢者、障害者、外国人など、多様な人材がそれぞれのライフステージ等に応じた柔軟な働き方の下でその能力を発揮できる環境を整備すること。

9 技能実習制度から育成就労制度への移行に当たっては、外国人材が特定の産業や大都市等の特定の地域に過度に集中することのないよう十分配慮するとともに、人権侵害を防止する施策を引き続き講ずること。
 また、労働や法律、消費生活に関する情報発信や相談体制を強化するとともに、家族も含め、日本語教育についても引き続き支援を充実すること。

10 旅行ニーズの多様化に対応した観光需要の喚起を図る施策を充実するとともに、インバウンドの増加等に向けた施策を強力に実施し、観光消費の増大を図ること。
 また、観光を通じた地域活性化のため、地方への誘客促進を図るとともに、地方の様々な文化資源を活かした文化観光の推進への支援を充実すること。
 併せて、特定の観光地におけるオーバーツーリズムなどに配慮し、持続可能な観光を推進すること。

以上、決議する。

令和8年7月22日

全国都道府県議会議長会