3 多様な人材が議会に参画するための環境整備等について
地方議会は、投票率の低下や無投票当選の増加、議員の性別や年齢構成の偏り、議員のなり手不足などの課題を抱えている。令和5年4月に改正された議会の役割及び議員の職務等の明確化などを内容とする地方自治法を踏まえて、議会とは何かを住民にしっかり理解いただき、女性や若者など多様な人材の議会への参画を一層進めていくことが必要である。
また、都道府県議会は、都市部と非都市部との市町村の間で人口の偏在がかつてない規模と速度で進行する中、非都市部については、今後さらに議員定数の確保が困難になり、合区による選挙区の広域化が進めば、地域の代表機能や多様な民意の集約機能が損なわれる恐れがある。地方議会は、人口比例原則のもと地域の代表の確保に尽力しているが、現行の公職選挙法の強い縛りの下では限界に近づいており、早急な対応が必要である。
本会は、こうした課題について調査・研究するため、女性や若手の正副議長などをメンバーとする委員会及び有識者による研究会を設置した。
委員会は、本年1月、主権者教育の推進、厚生年金への地方議会議員の加入、インターネット上の誹謗中傷やハラスメントへの対策など誰もが参画し活躍できる議会を目指すための提言、研究会は、同年7月、人口が少ない地域の議員定数を確保するための方策などについての報告書を取りまとめた。
これらの提言及び報告書等を踏まえ、各議会は更なる改革に努め議会の活性化を図るとともに、本会は三議長会で連携し、地域を学び議会への理解を深める主権者教育の一層の推進、法改正事項に係る国への要請活動などに取り組む必要がある。
さらに、地方分権改革により地方議会の役割と責任はますます高まっており、議会がその責任を果たしていくためにも、議長が議会を招集することを可能とするなど、更なる議会制度の改革が必要である。
よって、次の措置を講ぜられたい。
(1) 議会に対する関心を高め、理解を深める主権者教育を一層推進すること。推進に当たっては、議会自らが主体的に行う主権者教育の取組に対する支援を講ずること。
加えて、より効果的な主権者教育を実現するため、現在、中央教育審議会で改訂に向けた審議が行われている学習指導要領に「学校と議会が連携した主権者教育の推進」について明記すること。
(2) デジタル技術の活用等により、多くの住民の声を反映した活力ある地方議会を実現するため、議会のデジタル人材の確保や、議会のデジタル化の取組に必要な技術的・財政的支援を行うこと。
また、オンラインによる本会議への出席については、第33次地方制度調査会答申で指摘された課題について検証と検討を行い、その実現に向けて所要の措置を講ずること。
(3) 立候補に伴う企業等による休暇を保障し、不利益な取扱いを禁止するための必要な法改正を行うとともに、厚生年金の適用拡大が進んでいる状況を踏まえ、厚生年金への地方議会議員の加入を実現し、会社員等が議員に転身しても切れ目なく社会保障制度を継続できるようにすること。
(4) 令和3年6月に改正された「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」に基づき地方公共団体が実施する議員活動と出産・育児・介護の両立支援のための体制整備、ハラスメント防止に係る研修実施や相談体制の整備などの取組に対する支援を講ずること。
(5) 非都市部の議員定数を確保するため、公職選挙法第15条第2項を見直し、強制合区の基準(議員一人当たり人口の半数に達しないとき)を原則としつつ、選挙区を存続させる特段の合理的な理由がある場合には例外を設ける仕組みを導入すること。さらに、公職選挙法第15条第8項ただし書について、非都市部への配慮を明示するなど人口減少地域を念頭に置いた趣旨に再構成すること。
また、都道府県議会議員の選挙区設定において、現行制度上、基本的に設定できない市と市の合区について地域の実情に応じてできるようにすること。
(6) 第221回国会において改正された選挙運動におけるSNSの利用適正化等を内容とする公職選挙法及び情報流通プラットフォーム対処法について、令和9年4月の統一地方選挙に向け周知徹底を図ること。
また、同法の施行に当たっては、選挙の公正性の確保に加え、議員や立候補者、その家族が誹謗中傷やハラスメントにさらされることのないよう、実効性ある対応策を講じること。
(7) 議会の招集権については、議会の代表者である議長に付与すること。
(8) 各地方公共団体の幅広い住民サービスの方針である予算の決定に当たっては、地方議会が当該団体の意思決定を行う場であることを踏まえ、予算修正権の制約を見直すこと。
(9) 議会の監視機能を強化するため、政令で定められている議決を要する契約の種類・金額、財産の取得・処分に係る面積・金額の基準について、各地方公共団体が条例で定めることができるようにすること。
(10) 地方議会の意見書については、地方の問題解決に対する切実な思いが込められていることから、国会及び政府において積極的に活用し、その活用結果を公表すること。
また、各省庁は地方議会からの意見書のオンライン提出が可能となるよう、受理体制を整備すること。
