5 デジタル社会の実現に向けた取組の推進について
デジタル社会の実現は、我が国の国際競争力の強化及び国民の利便性の向上に資するとともに、急速な少子高齢化の進行や東京圏一極集中の是正など我が国が直面する課題を解決する上で極めて重要である。
このため、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」の形成が期待されるところである。
デジタル化を進めるに当たっては、その目的・意義を住民や関係機関で共有し、国、地方公共団体、民間事業者が一丸となって取り組み、地方のデジタル化、デジタル・トランスフォーメーション(DX)のための情報通信基盤整備やデジタル人材の育成などを推進することが求められている。
その上で、具体的な取組については、下記に留意して進めていただくよう求める。
(1) 地方創生に不可欠なデジタル技術の活用には、過疎地でもデジタル格差が生じないよう第5世代移動通信システム(5G)等のデジタルインフラの環境整備を推進するとともに、デジタル社会を支える人材の育成・確保に向けた地方の取組を支援すること。
特に「地域未来交付金」については、引き続き充実確保した上で、各地域のデジタル化の取組がより一層拡大・進展するよう更なる交付対象の拡大、申請手続の簡素化等の弾力的で柔軟な取扱いを図ること。
(2) 地方団体の基幹業務システムの標準準拠システムへの移行を支援する「デジタル基盤改革支援補助金」については、特定移行支援システム及び一部機能の経過措置の必要性が認められたシステムの移行に要する経費も含めるほか、各自治体の個別事情等を踏まえ、関連システムの改修をはじめ移行に関連する全ての経費を対象とすること。
また、移行後、制度改正等に伴ってシステムの改修が必要となった場合についても、国の責任において適切に財政措置を行うこと。併せて、移行後の運用経費の抑制・適正化については、総合的な対策における短期・中長期で必要な対策についてスケジュールを具体的に示した上で確実に実施するとともに、令和9年度以降も実質的負担が増加する全ての自治体に対して確実な財政支援を行うこと。
(3) 急速に普及しつつある生成AIについては、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)及び人工知能基本計画が成立したものの、知的財産権の侵害、偽情報・誤情報の生成・発信などが大きな社会問題となっており、引き続きAI関連技術の安全性及び信頼性の向上に向けた環境整備に努めること。また、地方公共団体がAI関連技術を積極的に利活用できるよう、先進的事例や留意すべき事項等必要な情報提供を行うこと。
(4) マイナンバーカードの更なる利便性向上に向け、関係機関との適切な連携のもと、国民が安全・安心に利用できる仕組みづくりを進めること。
(5) 国はデジタル人材について、2026年度までに230万人育成する目標の達成状況を踏まえて次期目標を策定することとしているが、地方においてもデジタル人材を輩出できるよう、引き続きAIやデータサイエンスの専門人材の育成や教育プログラムの開発に取り組む大学への支援等を強化すること。
また、時勢に応じて求められる役割及びスキルの変化を踏まえたデジタル人材の育成に対する支援を行うこと。
なお、高度なデジタル人材を育成する情報系学部・学科に係る東京23区内の大学の定員増加抑制規定の例外措置について、時限的な定員増であることが担保されるよう制度の厳格な運用に努めること。
また、市町村のデジタル人材不足が特に課題となっていることから、都道府県による市町村支援の取組に対して、財政的・技術的支援を充実すること。
(6) 法令等に係るアナログ規制の見直しを着実に進めるとともに、地方公共団体におけるアナログ規制の見直し等への支援を充実すること。
(7) 国民誰もが行政手続や各種サービス等に円滑にアクセスすることができるよう、年齢、障害の有無、居住地域等による利用機会の格差等のデジタルデバイドを是正するとともに、地方公共団体
の取組への支援を充実すること。
(8) 複雑・巧妙化するサイバー攻撃から個人情報や機密情報を守るため、サイバーセキュリティ対策に万全を期すとともに「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に基づく地方公共団体の取組に対する技術的・財政的支援を充実すること。
(9) 教育、医療、農林水産業等の各分野やモビリティの高度化等におけるデジタル化の推進に当たっては、安全性を確保した上で規制緩和や制度の見直しを行い、国民の利便性向上を図ること。
(10) 5Gについては、2030年度までに人口カバー率99%などの目標達成に向けて、地方を含むエリアで早期にサービスが開始されるよう、地方部における国庫補助事業を充実するとともに、事業者自らが、地域間で格差なく基盤整備を進められるよう、支援を充実すること。
なお、地方公共団体に負担が生じる場合には財政支援を充実すること。
また、ローカル5Gを活用した地域課題解決への支援を拡充するなど普及促進に向けた取組を進めること。
(11) 過疎地域や離島等の条件不利地域はもとより、全ての地域で情報通信技術がもたらす利便性を享受できるよう、光ファイバや無線、衛星通信の整備等の促進に対する財政支援を引き続き充実す
ること。
また、地方公共団体が整備した光ファイバの民間移行を促進するとともに、維持管理、更新、災害復旧等に対する財政的支援を拡充すること。
(12) インターネット上の誹謗中傷行為は、人権上、極めて悪質な情報も存在し、深刻な社会問題となっていることから、防止のための広報活動、情報モラル及びリテラシー向上のための教育や啓発活動の充実強化を図ること。
また、情報流通プラットフォーム対処法の周知及び厳格な運用を図り、誹謗中傷行為の被害者救済をより迅速化するため、相談体制の一層の充実を図り、削除申出に対するプラットフォーム事業者等による実効性のある対応を促進すること。
併せて、発信者情報開示請求における手続きの負担軽減を更に進めることができるよう関係機関の連携強化を図ること。
