全国都道府県議会議長会

6 災害対策の充実強化について

令和8年7月22日 決定

 我が国は、地形、地質、気象などの自然的条件から、地震、津波、台風、洪水、地すべり、大雪などによる災害が全国のあらゆる地域で発生しやすい国土となっており、令和6年においても能登半島地震、奥能登豪雨などにより多くの尊い人命が失われることとなった。
 大規模災害の頻発化を踏まえ、政府は、政府全体の事前防災をリードし、発災時の対応の司令塔となる防災庁を令和8年中に設置することとしているが、今後も、南海トラフ地震や首都直下地震などによる甚大な被害の発生が懸念されていることから、災害の発生を未然に防止する対策の充実、災害に強いまちづくり、災害発生時の被災者支援や早期復旧、復興対策を推進する必要がある。
 よって、次の措置を講ぜられたい。
(1) 南海トラフ地震や首都直下地震などの発生が懸念されていることから、全国各地で事前防災を推進すること。
 また、新設される防災庁については、国民の生命・財産を守るため、平時から地方公共団体や関係機関との緊密な連携を図り、災害対応の機能を強化すること。
(2) 近年、頻発している大規模自然災害から早期に復旧・復興を成し遂げるため、中長期的な財政措置の継続や予算・人材の確保など、引き続き地方負担を最小化するために必要な措置を講ずること。
(3) 大規模災害発生時の激甚災害指定を早期化する運用改善がなされているが、被災地方公共団体が財政面での不安なく、より迅速に災害からの復旧・復興に取り組むことができるよう、引き続き運用改善に向けた検討を行うこと。
(4) 緊急防災・減災事業債については、防災拠点の整備や耐震化、災害対応のための情報網の構築等に限定されている対象事業を非常用備蓄の促進や孤立集落対策など国土強靱化地域計画に位置付けている事業に幅広く、柔軟に適用できるよう拡大するとともに、恒久化すること。
(5) 大規模災害に備えて、電気、水、通信などが停止した場合でも防災拠点施設や避難所等が機能するよう、「自立型ライフライン機能」の確立に向けた対策を推進すること。
(6) 大規模災害における医療提供体制の確立のため、医療機関の耐震化や津波対策のための移転を加速させるとともに、災害派遣医療チーム(DMAT)等の養成研修の拡大と組織的な運用体制の構築などによる災害時の医療人材確保、医療機関等への資機材整備の支援、全ての医療従事者を対象とした外傷初期対応に係る研修制度の創設などを図ること。
(7) 防災行政無線について、早急な普及や再整備のための支援措置を充実するとともに、携帯電話や通信衛星等を活用した多重の情報通信手段を確保すること。
 また、医療機関の通信については、衛星通信設備の整備への支援を充実すること。
 さらに、災害発生時における信頼性の高い情報連携体制の構築への支援を講ずること。
(8) 避難所の生活環境の改善を図るため、地域未来交付金(地域防災緊急整備型)などの交付金について、対象事業を拡大するとともに、十分な予算を確保すること。
(9) 大規模災害発生時に、被災地域以外の都道府県からの支援を受け入れるための総合的な調整を行う体制を構築すること。
 とりわけ、迅速かつ的確に被災地への職員派遣が行われるよう体制を強化するとともに、不足している技術系人材の養成を充実すること。
また、避難生活から生じる被災者や医療機関の医薬品等のニーズに対応できるよう、広域的な確保・供給体制を構築すること。
(10) 被災者生活再建支援制度については、適用区域や支援金の支給対象世帯の拡大等制度を充実するとともに、被災者生活再建支援基金では対応できない大規模な災害が発生した場合には、国が全額補償するなど所要の措置を講ずること。
 併せて、被災者の意向に沿った住まいの再建ができるよう、応急援助から自立再建まで含めた総合的な支援制度を創設すること。
 また、災害救助法について、住家被害認定調査などの経費に対する適用範囲の拡大や災害救助費全般に係る国庫負担率の引上げなど、既存法律等の必要な見直しを行うこと。
(11) 大規模災害発生時における被災地方公共団体に対する寄附金については、税額控除額の算定における「個人住民税所得割の額の2割」という限度額を時限的に引き上げるなど、被災地方公共団体の復興に役立つよう制度を充実すること。