全国都道府県議会議長会

1 食料安全保障の強化について

令和8年7月22日 決定

 世界的な人口急増による食料需要の増加、気候変動や地政学的リスクの高まりを要因とした食料生産及びサプライチェーンの不安定化、さらにはエネルギー・生産資材や農林水産物の輸入価格の高騰などにより、近年我が国における食料安定供給に対するリスクが高まっている。
 また、主食である米の需給バランスの安定が強く求められているほか、中東情勢の混乱等による国内農林水産業・食品産業への影響が懸念されている。
 こうした中、国民一人一人の食料安全保障を将来にわたって確保するためには、国内農業生産の増大を基本とした強固な食料供給基盤の確立及び食料自給率の向上を図る施策を強力に推進することが必要である。
 よって、次の措置を講ぜられたい。
(1) 我が国の食料安全保障の要である米については、生産・流通・消費の実態を適切に把握した上で需給見通しを示すとともに、丁寧な情報発信を行うこと。
 また、生産者が意欲を持って経営を持続することができるよう、需給及び価格の安定を図る対策を国が責任を持って実施すること。
 政府備蓄米に関しては、不作や災害等の緊急事態における役割が十分果たせるよう運用するとともに、農業経営や消費者への影響に配慮すること。
 なお、ミニマムアクセス米の販売に当たっては、国産米の需給に影響を与えないよう対策を講ずること。
(2) 米国の関税措置による農林水産業・食品産業への影響を最小限にするため、国内の事業者等に対する資金繰り支援や、輸出先の多角化などの対策を講ずること。
(3) 食料・農業・農村基本計画の推進に当たっては、地域の農業・農村の実情に配慮しながら、食料自給率の向上等を通じて食料安全保障が確保されるよう、関係施策の実施に必要な予算を十分に確保すること。
(4) 食料システム法の全面施行を踏まえ、生産・流通コスト等に応じた合理的な価格形成により農林水産事業者が安定的な経営を展開できる環境の整備を推進すること。
 また、合理的な価格形成が食料の持続的な供給につながることについて消費者の理解醸成に努めるとともに、国産農林水産物の需要拡大や高付加価値化に係る予算を十分に確保すること。
(5) 麦・大豆の生産拡大及び品質の安定化を図るため、作付の団地化及び生産性向上に資する技術・機械や優れた加工適性を持つ品種の導入などへの支援を充実すること。
 また、国産原材料の利用拡大に取り組む食品事業者への支援を充実すること。
(6) 肥料や飼料、燃料等の生産資材、並びに包装等の流通資材について、安定的な供給体制を整備・強化するとともに、国際情勢による供給不安や価格高騰の影響を受ける農林水産事業者・食品事業者への支援を継続・拡充すること。
 なお、飼料用米については、種子の確保対策等による支援を継続することに加え、保管・流通施設等の確保に向けた支援の充実・強化など飼料用米の生産や利活用に取り組みやすい環境を総合的に整備すること。
(7) 経済連携交渉、WTO農業交渉等の国際貿易交渉に当たっては、食料の安定供給、食料自給率の維持及び農林水産物の国内生産量等に配慮し、農林水産業に影響を及ぼすことのないよう臨むこと。
 また、各種の経済連携協定等に伴う農林水産業への影響を継続的に検証するとともに、「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく政策等万全の対策を講ずること。
(8) 食品ロスを削減するため、消費者の意識向上を図る啓発を強化すること。
 また、フードバンク活動を行う団体がこども食堂等に食品の提供をしやすくするため、広域的な連携による食品の受入・提供の拡大などの取組に対する支援を充実すること。