冬の陽だまりで ふと想う
島根県議会議長
池田 一
12月、冬の陽だまりに包まれながら、ふと、現在の県政や自治体の在り方について想いを巡らせていました。昨今、世の中の変化は大変著しいものがあります。この変化の波の中で、多くの地方の自治体が様々な課題に直面しています。こうした中、私たち議会が首長をはじめとする執行部と、どうかかわっていくか。そこに地方の自治体の未来がかかっているように感じています。
近年、財政的に豊かな自治体が、独自の様々な施策を展開し、どんどん先に進んでいます。また、期待される技術革新や画期的なシステムは、まず財政力があり、人口集中による費用対効果の高い都会地から導入され、地方がその恩恵を受けるのは、まだまだ先の話です。こうしたことが相まって、結果として、一極集中を促し、地域間格差を更に拡大させているのではないか、そういった想いを最近、強くしています。
特に財政の厳しい地方の自治体においては、議会と首長が、直面する課題に共に向き合い、都会地との格差を少しでも縮めるために、同じ目標、同じ想いで自治体運営に取り組むことが、何よりも大切だと感じています。
そもそも議会がその役割を果たすためには、まず私たち議員一人ひとりが、地域の代表としての自覚を持ち、厳しくも建設的な議論を重ねることで、活気を生み出すことが不可欠です。様々な視点を持つ議員が知恵を出し合い、議会全体として執行部を支え、時には是々非々の立場で的確な提言をしていく。それには、議会のまとまりが必要であり、議長は、様々な意見を持つ議員をまとめ、首長を中心とする執行部がスムーズに行政運営できるよう後押しできる環境をつくることが大きな役目であると思います。
今、地方の自治体が頼りにし、大切に育むべきは、「行政力」であると私は強く感じています。この「行政力」とは、議会と執行部の協力体制を通じて、一つのチームのように心を合わせ、同じ未来を描き、互いの知恵と力を持ち寄って、地域の課題に立ち向かうことに他なりません。そうした「行政力」こそが、きっと地方が持つ独自の魅力を輝かせ、未来を切り拓くための確かな道筋となるでしょう。議会の果たすべき役割は、これからもますます大きくなっていく・・・・。冬の陽だまりの中で、そんな県政の未来に想いを馳せた師走の一日でした。
島根県議会議長
池田 一(いけだ はじめ)
生年月日
昭和35年7月27日
主な経歴
- 平成19年4月〜
- 島根県議会議員(現在5期目)
農水商工委員会、文教厚生委員会、総務委員会、議会運営委員会の各委員長を歴任 - 令和3年5月
- 第89代島根県議会副議長に就任
- 令和7年6月
- 第82代島根県議会議長に就任
