全国都道府県議会議長会

地方議会のデジタル化推進に関する決議

令和3年7月14日 決定

 国・地方を通じたデジタル・ガバメントの構築が進む中、行政のデジタル化は、事務の効率化・高度化が大きな目的となるが、地方公共団体の意思決定機関である議会のデジタル化は、行政の高度化に対応した政策立案・行政監視、エビデンス(根拠・データ)に基づく団体意思決定ができるようにするとともに、平時・災害時・コロナ禍にかかわらず議会機能を十分に発揮できることが大きな目的となる。加えて、デジタル・インクルージョン(デジタル化により、性別や年齢、障害の有無にかかわらず、全ての人を包摂すること)の観点から、議会・議員と住民との距離を縮め、多様な人材の議会への政治参画を促進していくことも重要である。

 本会では、令和3年1月、議長で構成する「都道府県議会デジタル化推進本部」を設置し、専門家の支援を得ながら、都道府県議会のデジタル化に関する方策等について検討を行い、議会のデジタル化を進める上では、議員へのサポート体制の整備、デジタル人材の確保・配置、制度改正、予算の確保の4つが特に重要かつ喫緊の課題であるとの考えを取りまとめた。

 よって、この取りまとめ等を踏まえ、地方議会のデジタル化が効果的に推進できるよう、次の措置を講ぜられたい。

(議員へのサポート体制の整備関係)

1 各議員がデジタル技術やオープンデータを活用してエビデンスに基づく団体意思決定・政策評価を行えるよう、デジタル機器の操作・活用研修の実施や相談窓口の設置などの環境整備への支援を講ずること。

(デジタル人材の確保・配置関係)

2 議会を含め地方公共団体のデジタル人材の確保・配置が進むよう、支援を行うこと。 また、デジタル化を支援する専門家のリストを取りまとめて公表すること。

(制度改正関係)

3 近年の大規模自然災害の発生、新型コロナウイルス感染症のまん延、議員の出産・育児と議会活動の両立が求められている状況等を踏まえ、本会議をオンラインにより開催できるよう検討の上、必要な制度改正を行うこと。

 また、電子的方法による意見書・請願の提出等、議会のデジタル化を推進するに当たって考えられる法的課題について整理の上、必要な制度改正を行うこと。

(予算の確保関係)

4 議会のデジタル化に係る通信環境やシステム、機器の整備費用、議会のデジタル化を支援する専門家の活用費用、議会のオープンデータ化を推進する費用等、必要な財政支援を講ずること。

(その他)

5 デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)により個人情報保護制度が一本化されたが、議会は対象から除かれるため、議会における個人情報保護制度の検討に係る技術的支援を講ずること。

 また、会議のオンライン開催、デジタルツールを用いた議会・議員と住民との円滑なコミュニケーションの確保等を図るため、第5世代移動通信システム(5G)等情報通信基盤の整備を促進すること。

 以上、決議する。

  令和3年7月14日

全国都道府県議会議長会