全国都道府県議会議長会

1 地方税財源の充実強化について

令和3年7月14日 決定

 地方財政は、社会保障関係費の増嵩などによる財源不足が続く中で、新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な税収減が加わり、引き続き厳しい状況となることが想定される。

 こうした中でも地方は、新型コロナウイルス感染症対策、少子高齢化が進行する中での充実した社会保障サービスの提供、地方創生・人口減少対策、疲弊した地域経済の回復と活性化、デジタル社会の実現、防災・減災対策等増大する地域の諸課題に責任を持って対応していかなければならないことから、十分な地方税財源の確保が必要である。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1)令和4年度以降においても、地方が責任をもって、地域の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分担えるよう、地方財政計画に増大する地方の財政需要を適切に反映するとともに、安定的な財政運営に必要な地方一般財源総額を確保すること。

(2)新型コロナウイルス感染症の影響による地方税収の減少を念頭に、令和2年度限りの措置である減収補填債の対象税目の拡大については、令和3年度以降も適切な対応を図ること。

 また、令和2年度及び令和3年度において発行が認められた特別減収対策債及び特別減収対策企業債については、令和4年度以降も適切な対応を図ること。

(3)地方交付税については、引き続き、財源保障機能と財源調整機能の両機能が適切に発揮できるよう、その総額を確保すること。

 また、臨時財政対策債に頼らず、安定的にその総額を確保できるよう、法定率の引上げを含めた抜本的な改革を行うこと。

 加えて、臨時財政対策債の償還額が累増していることから、その発行額を圧縮するとともに、償還財源を確実に確保すること。

 さらに、中長期的な視点で、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続可能な制度の確立等により、地方税財源の充実強化を図ること。

(4)地方が担っている役割と責任に見合うよう、地方税の一層の充実を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収の安定性を備えた地方税体系を構築すること。

(5)地方公共団体の基金は、災害や新型コロナウイルス感染症の対応、税収減等の不測の事態への機動的な財政運営の備えとして、行財政改革や歳出抑制を進めることにより造成したものであり、その残高をもって一律に地方財政計画の圧縮や地方交付税の削減を行わないこと。

(6)新型コロナウイルスの感染が再拡大した場合に地方が機動的な取組を行えるよう、財政措置を講ずること。

特に、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」については、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域であるかに限らず、地方公共団体が必要とする額を引き続き確保すること。

(7)電気供給業、ガス供給業などに対する収入金額課税は、受益に応じた負担を求める外形課税として定着し、地方税収の安定化に大きく貢献していることから、現行制度を堅持すること。

(8)中長期的な視点に立って検討を行うとされている自動車関係諸税については、地方におけるインフラ老朽化対策等の貴重な財源であることを十分に踏まえ、地方財政に影響を与えないよう留意すること。

(9) ゴルフ場利用税については、アクセス道路の整備・維持管理、ゴルフ場から排出されるごみ処理、地すべり対策等の災害防止対策等、特有の行政需要に対応していること、また、その税収の7割が所在市町村に交付金として交付されており、特に財源に乏しい中山間地域の当該市町村にとっては貴重な財源となっていることから、現行制度を堅持すること。