全国都道府県議会議長会

2 防災・減災対策、国土強靱化の充実強化について

令和3年7月14日 決定

 令和元年房総半島台風(台風第15号)、令和元年東日本台風(台風第19号)、令和2年7月豪雨、令和2年台風第10号、令和3年7月の梅雨前線に伴う大雨等による風水害など、自然災害が頻発・激甚化しており、多くの尊い人命が失われ、全国各地で住民生活の安全・安心が脅かされる事態が生じている。

 今後も南海トラフ地震や首都直下地震などによる甚大な被害の発生が懸念されることから、大規模自然災害に備えた強靱な国土づくりに向けた取組を迅速に進め、住民の安全と安心を確保することが急務となっている。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1)防災・減災対策、国土強靱化に資する社会資本整備を戦略的かつ計画的に推進するため、本年5月に閣議決定された第5次社会資本整備重点計画を踏まえ、個別の補助金、防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金など必要な予算を安定的かつ継続的に確保するとともに、地方負担分については地方財政措置を的確に行うこと。

(2)頻発する大規模自然災害に備えるため、昨年12月に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく土砂災害防止対策、地震・津波による被害の防止対策等を着実に実施することができるよう、必要となる予算を当初予算において安定的かつ継続的に確保すること。

 また、地方公共団体が「国土強靱化地域計画」に基づく事業を着実に実施することができるよう、交付金、補助金の重点配分などによる財政支援を充実するとともに、市町村における地域計画の策定に向けた職員に対する研修などの支援を充実すること。

(3)道路、河川、港湾、海岸、空港などの社会資本が、災害によって壊滅的な被害を受けることで、資材等の輸送を困難にし、被災地域の早期支援や迅速な復旧作業の妨げとなることから、耐震化などの防災対策を推進すること。

 また、全国的に社会資本の老朽化が進行していることを踏まえ、中長期のトータルコストの縮減と平準化を図りつつ、維持管理と更新を計画的かつ着実に行うこと。

 さらに、地方公共団体が管理する社会資本についても維持管理と更新が計画的に進むよう、公共施設等適正管理推進事業債の恒久化を図るとともに、技術的・人的支援を充実すること。

(4) 河川管理者だけでなく流域全体のあらゆる関係者が協働し水害を軽減させる流域治水の取組に対する財政支援、技術的支援を充実すること。

特に、近年の災害では本川のみならず支川の周辺地域にまで大きな被害が生じたことから、流域全体の再度災害防止を図るため、抜本的な対策を講ずること。

 また、利水ダムにおいて事前放流を的確に実施することができるよう、ダムの放流施設の整備・改良に対する支援の充実を図るとともに、線状降水帯等による降雨量やダムへの流入量の予測精度の向上を図り、迅速かつ正確な情報提供を行うこと。

(5) 令和元年東日本台風(台風第19号)、令和2年7月豪雨等により甚大な被害が発生した河川、道路等のインフラの復旧について、被災自治体に対する十分な財政支援、技術的な支援を講ずること。

 また、河川の直轄管理区間における災害復旧事業の早期完了を図るとともに、地方が管理する河川のうち、特に被害規模が大きく早急な対応が必要な河川については、国の施行により早期復旧を図ること。

 さらに、橋りょうの流失等により運休が生じている鉄道路線の早期復旧を図るため、事業者に対する財政支援を充実すること。

(6) 震災に強いまちづくりのため、庁舎、学校、住宅、上下水道施設及びため池などの耐震診断・耐震改修に係る費用に対する補助限度額の引上げなどの財政支援を充実すること。

(7) 高齢者、障害者及び避難に時間を要する子供等の災害時における要配慮者が入所、通所する社会福祉施設等について、耐震化や高台移転に対する支援を行うとともに、その周辺地域において、津波や風水害等の自然災害に強い避難施設の整備を促進すること。

 また、被災した要配慮者の受入先確保のため、福祉避難所の指定を促進できるよう、施設整備やバリアフリー化などに対する財政支援を充実すること。