全国都道府県議会議長会

2 中小企業・小規模事業者支援の充実強化等について

令和3年7月14日 決定

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期に及んでおり、経済活動の縮小によるダメージが累積し、中小企業・小規模事業者は極めて厳しい状況に追い込まれており、事業の継続や雇用の維持が危ぶまれている。

 中小企業・小規模事業者は、地域における経済活動や雇用の確保などにおいて大きな役割を担っており、下支えのための各種支援策を実施し、事業の継続や雇用の維持を図ることは、地域経済の再生のために極めて重要である。

 また、全国各地で多発する自然災害に備えた防災・減災対策を推進するとともに、円滑な世代交代・事業承継に切れ目のない支援を実施する必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 危機に瀕した中小企業・小規模事業者の事業継続を図るため、予算・税制・金融措置等の支援を充実すること。

 また、コロナ禍の影響を踏まえた業態の転換、異業種との連携、収束後も見据えた新たな事業の創出などに対する支援を充実すること。

(2) 経済活動の縮小により、甚大な影響を受けている飲食業、観光関連産業、小売業、卸売業、製造業、農林水産業等のあらゆる分野の事業者が事業を継続することができるよう、事業者の負担軽減に着目した融資や返済猶予等の資金繰り対策を充実すること。

(3) 雇用情勢の悪化が続く場合においては、雇用の維持と生活の下支えに必要な万全の対策を臨機応変に講ずること。

 また、職業訓練の強化、働きながら学べる環境の整備、リカレント教育の推進など再就職に向けた総合的な支援を充実すること。

(4) 大規模自然災害により被災した中小企業・小規模事業者の工場、店舗、旅館等の復旧を支援するための財政措置を講ずるとともに、災害関連保証の発動による金融支援など、被災中小企業・小規模事業者の事業再開・継続に向けた支援策を講ずること。

 また、新型コロナウイルス感染症等の影響により、復旧事業の完了に遅延が生じる場合もあり得ることから、財政支援を講ずること。

 さらに、被災した大企業についても、地域経済への影響が生じないよう、事業者が行う防水壁設置などの減災・防災対策に要する経費に対して、支援策を講ずること。

(5) 経営者の高齢化が進む中で事業承継が円滑に促進されるよう、事業承継・世代交代集中支援事業及び中小企業再生支援・事業承継総合支援事業の充実強化を図ること。

 また、経営者保証について、前経営者と後継者からの二重徴求を行わないなど「経営者保証に関するガイドライン」の特則に基づく適切な対応がなされるよう、一層の浸透・定着を図ること。

(6) 人手不足が深刻化している地方の中小企業・小規模事業者の生産性向上や新たな付加価値の創出のため、AI・IoTの整備促進を図り、活用しやすい環境とすること。

 また、中小企業・小規模事業者のキャッシュレス決済は、生産性や利便性の向上はもとより、感染症予防にも寄与することから、導入を推進するとともに、セキュリティ対策の強化やデータの利活用など運用に関する支援を充実すること。

(7) 中小企業・小規模事業者の人材を確保するため、若者、女性、高齢者、障害者、外国人など、多様な人材がその能力を発揮できる環境を整備すること。