全国都道府県議会議長会

2 地方創生の推進について

令和3年10月28日 決定

 地方においては、人口減少と高齢化が急速に進行しており、生産年齢人口の減少による様々な社会的・経済的な課題が生じている。国政選挙における選挙区の見直しにより地方の声がさらに国に届きにくくなる懸念もある中で、人口減少に歯止めをかけ、将来にわたって活力ある地域社会を構築していくことが重要であり、引き続き地方創生・人口減少対策の一層の推進が必要である。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、地方創生の基盤となる地域経済が大きな打撃を受けたことから、地方創生の取組の成果を十分に上げることができない状況にある。

 一方、東京圏への人口集中のリスクが改めて浮き彫りになり、地方への移住や就業に対しての国民の関心が高まるとともに、働く場所を問わないテレワークの広がりにより、東京圏から地方への人の流れが見られるようになっている。

 こうした変化は、東京圏への一極集中の是正や地方創生を推進するための大きな契機となり得るものであり、地方の所得向上を図りつつ、地方創生の取組が感染症収束後の地域の活力を取り戻す起爆剤となるよう支援していく必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

 (1) 新型コロナウイルス感染症拡大により東京圏への一極集中のリスクが認識されたことを踏まえ、地方拠点強化税制の継続・拡充、東京圏から本社を移転した企業への交付金制度の創設、サテライトオフィスの設置等の取組により、企業や大学の地方移転を推進すること。

    また、東京圏での地方移住への関心の高まりを、新しい人の流れの創出につなげるため、地方創生テレワーク交付金を充実・確保するなど、テレワークを活用した移住等の取組を推進すること。

    さらに、地方創生移住支援事業・起業支援事業について、移住元の地域の拡大、就業や起業の要件緩和など、実施状況を踏まえた運用の弾力化等を図るとともに、制度の周知を充実すること。

 (2) 政府関係機関の地方移転の拡大を図るため、適切な数値目標を掲げ、地方からの新たな提案の募集を実施する等の政策を着実に推進すること。

 (3) 地方がその実情に応じた取組を継続的かつ主体的に進めていけるよう、「まち・ひと・しごと創生事業費」及び「地域社会再生事業費」の継続・拡充を図ること。

    また、「地方創生推進交付金」及び「地方創生拠点整備交付金」については、安定的かつ継続的に所要額を確保するとともに、複数年度の施設整備事業の採択事業数の拡大や予算枠の拡充、地域再生計画の認定及び交付に係る申請手続の簡素化など、地方の意見等を十分に踏まえ、更なる制度の拡充やより弾力的で柔軟な取扱いを図ること。

 (4) 人口急減に直面する地域の持続性を確実なものとするために、「特定地域づくり事業推進交付金」については、安定的かつ継続的に所要額を確保すること。

 (5) 地方創生の深化に向けた切れ目ない取組を進め、東京圏への一極集中など我が国の抱える構造的な問題を解決するため、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、SDGs達成に向けた取組やSociety5.0の実現などの社会変化を見据えた戦略を推進するとともに、関連予算を十分確保すること。

 (6) 「地方人口ビジョン」及び「地方版総合戦略」の目標の実現に向けた取組を推進できるよう、規制緩和や情報提供等を積極的に行うとともに、適切な指標を活用した地方の施策効果の検証により、国の政策の見直し・拡充を行い、地方の主体的、自主的な取組が展開できる環境を整備すること。