全国都道府県議会議長会

3 地方分権改革の推進と地方議会の団体意思決定機関としての位置付けの明確化等について

令和3年10月28日 決定

 地方が、自主性と自立性を十分発揮し、地域の実情に沿って多様化・複雑化する課題に取り組むためには、更なる地方分権改革の推進が必要である。

 このため、国と地方が一層協調し、事務・権限の移譲や義務付け・枠付けの見直し等に取り組む必要がある。

 また、地方分権改革の推進等により、地方議会の果たす役割と責任はますます重要となっている。

 このため、地方議会・議員の団体意思を決定する責任を明確化し、議会の重要な役割について住民から理解を得る契機にするとともに、女性や若者等多様な人材の議会への政治参画につなげる必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

 (1) 地方議会の役割及び機能を明確化するため、令和5年の統一地方選挙までに地方議会の団体意思決定機関としての位置づけ、権限を地方自治法に規定すること。

 (2) 地方議会議員としての活動がより積極的に展開できるよう、令和5年の統一地方選挙までに地方議会議員の職務等を地方自治法に規定すること。

 (3) 地方議会における多様な人材確保等の観点から、議員の請負禁止の範囲を明確化した上での請負に関する規制の緩和及び立候補に伴う企業等による休暇の保障、厚生年金への地方議会議員の加入など、立候補環境改善のための法整備を早急に実現すること。

 (4) 地方行財政や地方公共団体の運営等に大きな影響を及ぼす政策の実施に当たっては、地方の意見を的確に反映できるよう、時間的余裕を確保の上、事前の情報提供や提案を行い、国と地方の協議の場において、分科会の活用を含め十分協議すること。

    また、事務・権限の移譲や義務付け・枠付けについては、地方分権改革に関する「提案募集方式」など、地方の提案の実現に向けた積極的な検討、採用を行うことにより、更なる見直しを行い、その際には一般財源ベースでの適切な財源移転を一体的に行うとともに、人員等の課題については、地方の自主性、主体性を最大限尊重の上、対応すること。

 (5) 議会の招集権については、団体意思決定機関として機動的に審議を行うことができるよう、議会の代表者である議長に付与すること。

 (6) 議会の招集日に災害等で議員の応招が困難となった場合、招集日の変更を可能とすることを法律上明確化すること。

 (7) 予算修正権の制約は議会の果たすべき政策実現を困難にする可能性があるため、地方議会が団体意思決定機関であることを考慮して、現在の制約を見直すこと。

 (8) 政令で定められている議決を要する契約の種類・金額、財産の取得・処分に係る面積・金額の基準について、議会の監視機能を強化するため、各地方公共団体が条例で定めることができるようにすること。

 (9) 先の通常国会において改正された「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」に基づき地方が実施する議員活動と出産・育児・介護の両立支援のための体制整備、ハラスメントに係る研修実施や相談体制の整備、人材育成のための模擬議会・講演会の開催などの取組に対する支援を講ずること。

 (10) 地方議会の意見書については、地方の問題解決に対する切実な思いが込められていることから、国において積極的に活用し、その活用結果を公表すること。