全国都道府県議会議長会

4 デジタル社会の実現に向けた取組の推進について

令和3年10月28日 決定

 デジタル社会の実現は、我が国の国際競争力の強化及び国民の利便性の向上に資するとともに、急速な少子高齢化の進行など我が国が直面する課題を解決する上で極めて重要である。

 このため政府は、先の通常国会において成立した「デジタル社会形成基本法」などいわゆるデジタル改革関連法に基づき、先般発足したデジタル庁が司令塔となり様々な分野の具体的な取組を加速することとしており、デジタル社会の実現が期待されるところである。

 国民誰もが日常生活において安心してデジタル化の利便性を実感でき、誰一人取り残さないデジタル社会の実現には、国民の理解を得ながら、国、地方公共団体、民間事業者が一丸となって取り組み、地方のデジタル化、デジタル・トランスフォーメーション(DX)のための情報通信基盤整備などを推進する必要がある。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大という危機を契機に地方議会のデジタル化推進の必要性は高まっている。地方議会のデジタル化については、行政の高度化に対応しつつ、障害の有無等にかかわらず議員が多様な議員活動を積極的に進め、平時・災害時・コロナ禍においても議会機能を十分に発揮できるようにしていく必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

 (1) 地方公共団体の情報システムの標準化など地方の負担を伴う取組の実施に当たっては、地方の事務処理の実態を踏まえた上で、標準化されたシステムへの円滑な移行等が可能となるよう、十分な人的・技術的支援、財政支援を講ずること。

 (2) 情報通信技術に関する専門的な知識・技術を有するデジタル人材について、地方公共団体、民間等における確保・育成の取組に対する支援を講ずること。

 (3) 地方議会のデジタル化の効果的な推進のため、議会のデジタル人材の確保・配置や通信環境の整備等への支援を行うこと。

    また、近年の大規模自然災害の発生、新型コロナウイルス感染症のまん延、議員の出産・育児と議会活動の両立が求められている状況等を踏まえ、本会議をオンラインにより開催できるよう検討の上、必要な制度改正を行うこと。

 (4) 法令等により書面、押印、対面が義務付けられている行政手続について、早期にオンライン化を実施すること。

 (5) マイナンバーカードについて、取得手続の更なる簡素化、健康保険証や運転免許証との一体化などにより普及を促進し、各種手当、給付金、還付金等の支給について、申請不要のプッシュ型のサービス提供を実現させること。

 (6) 国民誰もが行政手続や各種サービス等に円滑にアクセスすることができるよう、年齢、障害の有無、居住地域等による利用機会の格差等のデジタルデバイドを解消すること。

 (7) 複雑・巧妙化するサイバー攻撃から個人情報や機密情報を守り、詐欺やなりすまし等によるサイバー犯罪を防止するため、サイバーセキュリティ対策に万全を期すこと。

 (8) 教育、医療、農業、自動運転等の分野におけるデジタル化の推進に当たっては、安全性を確保した上で規制緩和や制度の見直しを行い、国民の利便性向上を図ること。

 (9) 第5世代移動通信システム(5G)については、大都市部と地方部の基盤整備を一気に進め、地方を含むエリアで早期にサービスが開始されるよう、地方部における国庫補助事業を充実すること。

    また、事業者自らが、地域間で格差なく基盤整備を進められるよう、支援を充実すること。

    なお、地方公共団体に負担が生じる場合には財政支援を充実すること。

 (10) 過疎地域や離島等の条件不利地域はもとより、全ての地域で情報通信技術がもたらす利便性を享受できるよう、光ファイバ等の整備を促進するため、継続的な財政支援を講ずること。

 (11) 地方公共団体が整備した光ファイバ等情報通信基盤の安定的な運用を確保するため、維持管理・更新・災害復旧等に対する財政支援を充実すること。

 (12) 加入電話等のユニバーサルサービス制度を見直し、ブロードバンドサービスも対象とすること。