全国都道府県議会議長会

8 国際リニアコライダーの実現について

令和3年10月28日 決定

 国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致は、我が国が標榜する科学技術創造立国と科学外交の実現、高度な技術力に基づくものづくりの競争力強化、更には人づくり革命等を促し、我が国の成長戦略に貢献する極めて重要な計画である。

 また、ILCは国や地域、言語、宗教などの隔てなく、世界中の研究者、技術者が結集する拠点的研究施設であり、その実現による波及効果は日本全国、世界に及ぶものであり、ILCの建設、運用を通して、国際的なイノベーション拠点の形成等が進むことにより、日本の成長にも貢献するものである。

 平成31年3月の日本政府による見解に沿って、海外パートナー国との国際分担等について、アメリカ、ヨーロッパ各国との議論が進められている。また、既にILCに対する支持を表明しているアメリカに加え、令和2年6月に更新された欧州素粒子物理戦略において、ヨーロッパの協力姿勢が明確に示され、さらに、同年8月には、世界の研究者コミュニティによる国際推進チームが高エネルギー加速器研究機構(KEK)を拠点に発足し、ILC準備研究所の設立に向けた活動を進めるなど、ILC実現に向け新たなフェーズに移行している。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

 (1) ILC計画について、日本での実現を目指し、令和4年度のILC準備研究所の設立に向けて積極的に対応するとともに、日本政府が主導し、国際的な議論をさらに推進すること。

 (2) 関係省庁横断の体制を強化し、ILCを、我が国の科学技術の進展、さらに、国内の各地方をつなぐ産業・情報・技術のネットワーク形成、震災復興、民間の活力を伸ばす成長戦略、地方創生等の柱に位置付け、国内の議論を加速すること。