全国都道府県議会議長会

1 アフターコロナにおける活力ある国土交通政策の実現について

令和3年10月28日 決定

 新型コロナウイルス感染拡大により、国内外の旅行者や鉄道、バス、タクシー、航空等の利用者が大幅に減少するなど、観光、公共交通、空港、港湾、物流などの国土交通分野の関連産業が深刻な状況に陥った。

 これら関連産業は地域の発展のみならず、地方創生の推進や脱炭素社会の実現等に寄与していることから、再び活力を取り戻すことが重要である。

 このためには、まず疲弊した地域経済を速やかに回復しておく必要があり、縮小した経済の規模を拡大させるためのインフラ整備など大胆な公共投資を実施すべきである。

 また、政府は日常生活の回復に向けて、感染防止対策を維持しながら段階的に行動制限を緩和することとしているが、その具体的な実施に当たっては、国民の十分な理解を得ながら進めていく必要がある。

 なお、段階的な行動制限の緩和により、人や物の流れが以前のように活発化するまでには時間を要するものと見込まれることから、その間にコロナ禍で疲弊した観光事業者や交通事業者の受入体制の整備など経営基盤を回復した上で、国土交通分野の関連産業に波及効果をもたらすような思い切った観光振興対策を講ずる必要がある。

 よって、以下の措置を講ぜられたい。

 (1) 我が国経済が決してデフレに戻ることがないよう、地域経済を速やかに回復させるため、地域間の交流や観光の基盤となるインフラの整備、国民の安全・安心につながる防災・減災対策、危機に瀕している交通事業者や観光事業者への早急な支援などを盛り込んだ経済対策を早期に実施すること。

 (2) 公共交通は、住民はもとより旅行者等が円滑に移動するために欠かせないものであることから、社会経済活動再開後、経営が安定するまでの間、事業者が減便や路線廃止を行うことなく、安定的に運行を維持することができるよう、必要な支援を講ずること。

 (3) 国内旅行者の減少やインバウンドの消失により、中小規模の事業者をはじめ宿泊業、旅行会社、貸切バス等の観光関連産業が甚大な打撃を受けていることから、旅行を安心して再開できる環境を整備するため、感染防止対策を維持しながら、移動の自粛等の行動制限の緩和を進めること。なお、その際の「ワクチン・検査パッケージ」の活用等に当たっては、その効果等について国民の十分な理解を得るとともに、緩和策実施に係る事業者や地方公共団体の負担軽減を図ること。

    また、各地域の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、一定程度収束した地域における観光需要の喚起策を強力に実施するなどの大胆な支援を講ずること。

 (4) 我が国の喫緊の課題である脱炭素化については、運輸部門における電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)等の普及促進、公共交通の利用促進、住宅・建築物の省エネ対策の強化など、各分野の取組を推進すること。