全国都道府県議会議長会

6 観光振興対策の充実強化について

令和3年10月28日 決定

 世界各地における新型コロナウイルスの感染拡大により、国内における旅行者、我が国を訪れる外国人旅行者が急激かつ大幅に減少し、観光関連産業は壊滅的な打撃を受けた。

 新型コロナウイルス感染が収束した際に、我が国経済を速やかに回復させるためには、裾野が広く経済活性化に資する観光について、国内旅行、インバウンドの需要を喚起し、強力に振興を図る必要がある。

 また、近年、地震や台風、集中豪雨など、全国各地で深刻な災害が相次いでおり、被災地域の観光産業の復興に向けた支援も必要である。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

 (1) 新型コロナウイルス感染症により打撃を受けた観光会社、宿泊業など観光関連産業に対して、事業継続のための資金繰りや雇用確保、感染防止の取組に係る支援を引き続き講ずること。

 (2) 旅行を安心して再開できる環境を整備するため、感染防止対策を維持しながら、移動の自粛等の行動制限の緩和を進めること。

    なお、その際の「ワクチン・検査パッケージ」の活用等に当たっては、その効果等について国民の十分な理解を得るとともに、緩和策実施に係る事業者や地方公共団体の負担軽減を図ること。                            また、新型コロナウイルス感染が一定程度収束した段階においては、再び感染拡大を招くことがないよう十分配慮しながら、官民挙げて観光需要の喚起を図る大規模な施策を強力かつ継続的に実施すること。

    その際には、地方の中小の宿泊施設、旅行業者等も十分に利用されるよう配慮し、旅行者が特定の地域へ過度に集中することなく、経済効果が全国に幅広く波及するようにするとともに、平日や閑散期における観光についても促進を図ること。

    併せて、正確な情報を迅速かつ継続的に国内外に発信し、観光客の不安解消、風評被害の防止を図ること。

    なお、GoToトラベル事業の再開に当たっては、感染状況に応じて対象地域の範囲、時期、方法等について適切に運用するこ。

 (3) 新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだインバウンドを回復、拡大させるため、各国のワクチン接種や感染収束の状況を十分見極め、誘客が可能となった国に対する新たな訪日客層を開拓する取組、地方における官民連携した誘客の取組への支援を充実すること。

 (4) 多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなど(MICE)の誘致、新型コロナウイルスの感染防止対策を講じた上での開催に対する支援を充実すること。

 (5) 魅力ある観光地の形成促進のため、伝統、文化、景観など地域資源の活用・保全等に対する支援を充実すること。

    また、観光地域づくりの舵取り役を担う法人(日本版DMO)や広域観光周遊ルートの形成に対する支援を充実すること。

 (6) 査証(ビザ)要件の更なる緩和を図るとともに、地方空港及び港湾における税関・出入国管理・検疫(CIQ)の体制を整備・拡充すること。

    特に、世界各国における新型コロナウイルスの変異株の確認を踏まえ、検疫所の人員増強など検疫体制の抜本的な強化を図り、水際対策を徹底して実施すること。

 (7) 無料Wi-Fi環境の整備、多言語による情報提供の充実、キャッシュレス決済の環境整備、客室等のバリアフリー化、観光地までの交通手段の充実、災害時における迅速な情報提供など、訪日外国人が旅行しやすい環境の整備を更に推進すること。

 (8) 令和2年7月豪雨、本年2月の福島県沖を震源とする地震等の被災地域における観光施設の早期復旧に向けた重点的な支援を講ずるとともに、風評被害を防止するため、地域の現状に関する正確な情報発信や、観光プロモーションなど誘客のための取組に対して十分な支援を講ずること。

 (9) 国際観光旅客税については、これまでも地方公共団体が観光資源の魅力向上等に対し、様々な取組を行っていること等を踏まえ、その税収の一定割合を、自由度が高く創意工夫を活かせる交付金等により地方に配分すること。