全国都道府県議会議長会

2 食の安全・安心を確保する制度の拡充強化について

令和3年10月28日 決定

 国内における豚熱、高病原性鳥インフルエンザ及び牛海綿状脳症(BSE)の発生、食品の偽装表示事件等により、健康・生命に深く関わる「食」の安全・安心に対する国民の関心は、依然として高いものとなっている。

 このため、生産段階から消費段階にわたる安全確保の取組を一層進めることにより、食」に対する消費者の十分な信頼を得るとともに安全な食品を安定的に供給していく必要がある。

 また、我が国では、食料供給の多くを輸入に依存しており、輸入時の安全確保対策も重要な課題となっている。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

 (1) 家畜伝染病の発生及び感染拡大を防止するため、発生原因及び感染ルートを早期に解明するとともに、防疫作業に係る資材の広域的な備蓄・供給体制の構築、ワクチン開発に対する支援等、防疫・検疫体制を強化すること。

 (2) 豚熱の防疫対策の強化等に向けて、ワクチン接種に要する費用への国庫補助対象の拡充を図るとともに、抗体付与率を上げるための手法の検討を行うこと。

    また、ワクチン接種豚を接種区域内で移動させる場合には、接種豚の確実な把握のため、病歴及び投薬歴に関する情報を含む検査申請書による確認を可能とすること。

    さらに、飼養豚の殺処分による養豚農家の損失を軽減するため、ワクチン接種農場で感染が確認された場合の殺処分は、発症豚のみを対象とすること。

    なお、野生イノシシによる感染拡大を防止するため、経口ワクチン散布の効果検証の手法の見直しを行うとともに、効果的な捕獲手法の確立及び捕獲に係る財政支援の充実を図ること。

 (3) 大規模農場等で相次いで発生していた高病原性鳥インフルエンザは、本年3月で防疫措置が完了したところであるが、今後再発することがないよう、衛生管理の徹底や防疫対策の強化を推進すること。

 (4) BSE安全確保対策について、リスク管理や対策の有効性に関する国民の理解浸透を図るとともに、検査体制の継続に必要な予算を十分に確保し、万が一BSEが発生した場合の対策について万全を期すること。

    また、外国産牛肉の輸入に当たっては、「日本向け牛肉輸出証明プログラム」の遵守等、安全性の確保に万全を期すること。

 (5) 家畜衛生、公衆衛生及び産業動物診療等の現場の中核を担う勤務獣医師の職責と業務量が増大する中、その人材確保が全国的な課題となっていることから、現下の公務員獣医師を始めとする勤務獣医師に求められている高度な専門能力と判断力にふさわしい処遇とするため必要な措置を講ずること。

 (6) 加工食品の原料原産地表示制度については、表示義務者である事業者の理解不足に基づく誤表示が発生しないよう、丁寧かつ十分に周知を図るとともに、表示により情報を受け取る消費者への普及啓発を図ること。

 (7) 遺伝子組換え種子を含まない種子の提供体制の確立や輸入の際のこぼれ落ち等による遺伝子組換え作物の自生防止対策を講ずるとともに、一般作物との交雑及び混入を防止するため、遺伝子組換え作物の生産及び流通段階での隔離を徹底する施策を充実すること。