全国都道府県議会議長会

3 森林吸収源対策及び林業・木材産業の活性化対策の推進について

令和3年10月28日 決定

 森林は、国土保全のほか地球温暖化防止、生物多様性の保全、生態系の維持など、多面的機能を有している。

 特に、「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会」の実現に向けて、我が国の二酸化炭素吸収量の8割以上が森林による吸収量であり、森林への期待が高まっていることから、更なる森林吸収源対策の促進が必要である。

 しかしながら、山村地域における過疎化及び高齢化の進行による林業就業者の減少により、林業及び木材産業の生産活動の停滞や、多面的機能の低下が懸念されている。

 また、米国での住宅需要の高まりから、外国産材の価格が高騰している。その影響から国産材の需要が高まっており、早急に国産材の供給体制を強化することが求められている。

 このため、林業及び木材産業の活性化に向けた取組が極めて重要となっている。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

 (1)  間伐、路網の整備、伐採後の再造林などの森林整備事業、山地災害の復旧・予防、流木対策や保安林の保全管理等の治山事業を推進するための予算を十分に確保すること。

 (2)  森林環境譲与税については、国、都道府県及び市町村の森林整備等に係る役割分担や市町村の事業実施制の確保等に関し、必要な助言や十分な説明を行うなど、都道府県や市町村における効果的な活用に向けた取組を行うこと。

 (3)  林業の担い手の確保・育成、木材加工流通施設の整備、高性能機械の導入及び路網整備に対する支援等により、木材の安定的な供給体制の構築と生産性向上を図り、林業及び木材産業を成長発展させること。

 (4)  国産材の需要拡大を図るため、関係省庁と連携して公共建築物や民間の中高層建築物の木造化・木質化、直交集成板(CLT)を活用した建築物の整備、セルロースナノファイバーの研究開発・普及及び木質バイオマスのエネルギー利用等を推進すること。

 (5)  海岸防災林は、地域住民の命や財産、生活を守る重要な施設であり、成林するまで長期間を要することから、造成した海岸防災林の保育管理等に要する費用も含め財政支援を充実すること。

 (6)  健全な森林の保全及び育成を図るため、松くい虫防除対策やナラ枯れ対策を一層推進すること。