全国都道府県議会議長会

2 新型コロナウイルス等感染症対策の充実について

令和4年7月27日 決定

 新型コロナウイルス感染症対策については、減少していた新規感染者数が上昇傾向に転じていることから、感染再拡大に備えた医療提供体制の強化を進めるとともに、感染状況や変異株の発生動向に細心の注意を払いつつ、感染防止対策に取り組んでいく必要がある。

 また、感染症の拡大が我が国の社会経済活動に多大な影響を及ぼし、人々の生活や価値観を一変させた教訓を踏まえ、今後新たな感染症が発生した場合には、国民の安全・安心の確保のため、感染症の実態を正確に把握し速やかな情報提供を行うとともに、社会経済活動への影響が最小限になるよう、平時から感染拡大時に備えておくことが重要である。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 変異を繰り返すウイルスに対応できるよう、国産の治療薬やワクチンの速やかな製造・販売に向け、重点的に開発支援等を行うとともに、製造販売承認手続の迅速化を行うこと。

(2) 感染拡大時においても、感染症への対応と一般医療や救急医療などが両立できる医療提供体制を確立するため、病床や専門人材の確保等への支援の拡充を図ること。

(3) 感染拡大時においても、保健所が機能不全に陥ることのないよう、保健師等の人材確保や体制強化のための支援を充実すること。

(4) ワクチン接種については、若年層の接種率が低迷しているため、3回目接種の必要性や安全性に加えて感染による後遺症の影響などの情報を強力かつ継続的に発信するとともに、12歳未満の子どもへの接種を判断するために必要な情報を発信すること。

 また、医療従事者及び高齢者施設従事者が追加された4回目接種について、引き続き現場の意見に十分配慮したうえで対象範囲を拡大すること。

(5) PCR検査等については、検査件数が急増した場合にも十分対応できるよう検査試薬等の安定供給を図るとともに、検査や積極的疫学調査等に対する財政支援を拡充すること。

(6) 感染者をはじめ医療従事者、エッセンシャルワーカー及びその家族に加え、ワクチン接種やマスク着用の有無に対する偏見や差別が生じないよう、人権を守るための対策を拡充すること。

(7) 新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間は、引き続き、地方公共団体が地域の実情に応じた感染症対策を迅速かつ的確に実施できるよう、十分な財政措置を講ずること。

(8) 世界各国におけるサル痘の感染拡大など新たな感染症への脅威が拡大していることから、検疫措置などの水際対策を強化するとともに、迅速かつ適切な情報収集や国民への情報提供に努めること。

 また、速やかに国の体制強化を図るとともに、地方との平時からの連携を推進し、感染初期段階から迅速かつ効果的に対応できる保健・医療提供体制の構築を早期に実現すること。