全国都道府県議会議長会

国民生活を守り地域経済の早期回復を実現する決議

令和4年10月25日 決定

 我が国経済は、緩やかに持ち直しているものの、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵略による原油価格・物価の高騰等の影響で依然として厳しい状況にある。

 このため、世界経済の減速リスクなど経済情勢の変化に切れ目なく対応しつつ、物価高騰・賃上げへの取組、円安を活かした地域経済の活性化、人への投資の抜本的強化と成長分野への労働移動及び国民の安全・安心の確保を国と地方が一体となって推進し、国民生活を守るとともに、地域経済の早期回復を図る必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

1 急激な物価高騰により厳しい状況にある生活困窮者への支援を着実に実施するなど、国民生活を守る物価高騰対策を講ずること。

 また、賃金引上げについては一定程度なされてきたが、今後も物価上昇が続くものと見込まれることもあり、企業における賃上げを促進するための税財政上の支援の抜本的強化を図ること。

2 地域経済を支える中小企業・小規模事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)及びGX(グリーントランスフォーメーション)への対応、業態の転換、異業種との連携、新たな事業の創出などの取組に対する支援の強化を早期に実施すること。

 また、成長分野への労働移動が円滑に進むよう、働きながら新たなスキルを学べる環境の整備など「人への投資」に係る施策の抜本的強化を早期に実施すること。

3 円安の利点を活かし対日直接投資の促進を図るとともに、外国企業が求める人材の育成、外国企業と地域の企業・大学等を結びつける支援及び外国人の生活環境の向上などの取組を強化すること。

4 観光関連産業のコロナ禍からの早期回復に向け、全国旅行支援等の観光需要喚起策や円安を活かしたインバウンドの回復に向けた施策を強力に実施し、観光消費の増大を図ること。

 また、観光を通じた地域活性化のため、地方への誘客促進を図ること。

 なお、施策の実施に当たっては、感染状況に十分留意しながら感染防止対策を適切に講ずること。

5 今夏に引き続き、今冬以降も電力ひっ迫が予想されることから、電力の安定供給を確保すること。洋上風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーを速やかに導入拡大するための施策を積極的に推進すること。

 また、国民生活に大きな影響を与える電気料金が高騰した際には、早急に負担軽減策を講ずること。

6 食料品の価格高騰対策を引き続き講ずるとともに、輸入に依存している小麦や大豆などの生産拡大に向けた支援を充実し、食料安全保障の強化を図ること。

 また、世界の食料需給がひっ迫することも想定し、農産物の更なる輸出拡大の促進を図るなど、必要な対策を講ずること。

7 本年も大雨や台風等により各地で大きな被害が発生しているため、流域治水の推進など強靱な国土づくりに向けた取組への支援を強化すること。

 以上、決議する。

  令和4年10月25日

                                       全国都道府県議会議長会