全国都道府県議会議長会

2 地方税財源の充実強化について

令和4年10月25日 決定

 新型コロナウイルスの感染状況は落ち着きつつあるものの、オミクロン株対応のワクチン接種など、引き続き、感染防止対策に取り組む必要がある。

 また、ロシアのウクライナ侵略による原油価格・物価の高騰が続くことが想定され、今後の状況によっては、住民生活を守るための施策の実施による地方の財政支出が拡大することが懸念される。

 こうした中でも地方は、少子高齢化が進行する中での充実した社会保障サービスの提供、地方創生・人口減少対策、疲弊した地域経済の回復と活性化、デジタル社会の実現、防災・減災対策等増大する地域の諸課題に責任を持って対応していかなければならないことから、十分な地方税財源の確保が必要である。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 地方が責任を持って、地域の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分担えるよう、地方財政計画に新型コロナウイルス感染症収束後の再拡大防止に備えた体制整備など、今後も増大する地方の財政需要を適切に反映するとともに、安定的な財政運営に必要な地方一般財源総額を確保すること。

(2) 新型コロナウイルスの感染再拡大や新たな感染症の発生等不測の事態に地方が機動的な取組を行えるよう、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」など必要な財政措置を講ずること。

(3) 地方交付税については、引き続き、財源保障機能と財源調整機能の両機能が適切に発揮できるよう、その総額を確保すること。

 また、臨時財政対策債に頼らず、安定的にその総額を確保できるよう、法定率の引上げを含めた抜本的な改革を行うこと。

 加えて、臨時財政対策債については、その発行額を更に圧縮するとともに、償還財源を確実に確保すること。

 さらに、中長期的な視点で、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続可能な制度の確立等により、地方税財源の充実強化を図ること。

(4) 地方が担っている役割と責任に見合うよう、地方税の一層の充実を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収の安定性を備えた地方税体系を構築すること。

(5) 地方公共団体の基金は、災害や新型コロナウイルス感染症の対応、税収減等不測の事態への機動的な財政運営の備えとして、行財政改革や歳出抑制を進めることにより造成したものであり、その残高をもって一律に地方財政計画の圧縮や地方交付税の削減を行わないこと。

(6) 自動車関係諸税の見直しに当たっては、電気自動車の比重が大きくなる中、自動車税が財産税的な性格を有することも念頭に、引き続き、地方公共団体にとって道路の整備・維持管理に関する財政需要が高いことから必要な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう留意すること。

(7) 電気供給業、ガス供給業などに対する法人事業税の収入金額課税は、受益に応じた負担を求める外形課税として定着し、地方税収の安定化に大きく貢献しているとともに、電気事業は大規模発電施設等、ガス事業は液化ガス貯蓄設備等を有し、事業活動に当たり多大な行政サービスを受益していることから、現行制度を堅持すること。

(8) 固定資産税については、令和4年度における土地に係る固定資産税の負担調整措置に関し、商業地等に係る課税標準額の上昇幅を評価額の2.5lまでとした新たな特例措置を令和4年度限りとするとともに、令和5年度は負担の均衡化に向けた既定の負担調整措置を確実に実施すること。

(9) ゴルフ場利用税については、アクセス道路の整備・維持管理、ゴルフ場から排出されるごみ処理、地すべり対策等の災害防止対策等、特有の行政需要に対応していること、また、その税収の7割が所在市町村に交付金として交付されており、特に財源に乏しい中山間地域の当該市町村にとっては貴重な財源となっていることから、現行制度を堅持すること。