全国都道府県議会議長会

6 包摂社会の実現に向けた取組について

令和4年10月25日 決定

 新型コロナウイルス感染症拡大の長期化は、地域社会のつながりの希薄化や社会環境・家庭環境の急激な変化を生じさせ、孤独・孤立、貧困、失業、DV被害や自殺者の急増などをもたらし我が国に暗い影を落とした。

 今後は、ウクライナ情勢の影響も加わり、経済・雇用情勢は依然として厳しい状況が続くものと予想され、精神的・経済的不安を抱える者が増加し、孤独・孤立などの問題が更に深刻化するものと思われる。

 この状況を打破するためには、若者、女性、高齢者など誰もが社会に参画する機会を得て、夢や希望、多様な幸せを感じられる包摂社会を実現する必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 孤独・孤立対策については相談窓口の整備、アウトリーチ型の支援、支援団体・個人に対する支援等の充実を図るとともに、セーフティネット強化交付金など地域の実情に応じた取組を支援するための各種支援の充実を図ること。

 特に、地方公共団体等による自殺防止の取組に対する財政支援を充実するとともに、若者や女性へのきめ細かい支援を講ずるなど、自殺防止対策を強化すること。

(2) 社会全体で女性が活躍できる機運を醸成するとともに、必要な支援を充実すること。

 また、女性差別の撤廃に向けて、個人通報制度に係る女子差別撤廃条約選択議定書を早期に批准すること。

(3) 働く意欲のある高齢者の雇用を促進するため、定年の延長等に取り組む事業主に対する支援や、職業能力の習得・向上、時短勤務等の柔軟な働き方の導入に関する支援を充実するなど、高齢者の雇用環境整備を図ること。

(4) 働き方が多様化していく中で誰もが安心できる勤労者皆保険を実現するため、厚生年金の適用範囲の拡大に向けた更なる検討を進めること。