全国都道府県議会議長会

4 中小企業・小規模事業者支援の充実強化等について

令和4年10月25日 決定

 新型コロナウイルス感染症の影響や原油価格等の高騰、為替相場の急激な変動等により、中小企業・小規模事業者は、極めて厳しい状況に追い込まれている。

 中小企業・小規模事業者は、地域における経済活動や雇用の確保などにおいて大きな役割を担っており、下支えのための各種支援策を実施し、事業の継続や雇用の維持を図ることは、地域経済の再生のために極めて重要である。

 また、全国各地で多発する自然災害に備えた防災・減災対策を推進するとともに、円滑な世代交代・事業承継に切れ目のない支援を実施する必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 中小企業・小規模事業者の収益力や生産性の向上に資するデジタル化への支援を拡充するなど、賃上げ及び最低賃金の引き上げに向けた更なる環境整備を図ること。

また、業態の転換、異業種との連携、新たな事業の創出などに対する支援を充実すること。

(2) 経済活動の縮小により、甚大な影響を受けている飲食業、観光関連産業、小売業、卸売業、製造業、農林水産業等のあらゆる分野の事業者が事業を継続することができるよう、事業者の負担軽減に着目した融資や返済猶予等の資金繰り対策等を充実すること。

(3) 企業が創出する付加価値の増大や生産性の向上を図るため、働きながら新たなスキルを学べる環境の整備、デジタルなど成長分野に関わる人材育成など、「人への投資」を充実すること。その際、地方大学が持つ教育・研究機能の活用を図ること。

 また、雇用情勢が悪化する場合においては、雇用の維持と生活の下支えに必要な万全の対策を、臨機応変に講ずること。

(4) 本年7月以降も台風等が頻発する中、大規模自然災害により被災した中小企業・小規模事業者の工場、店舗、旅館等の復旧を支援するための財政措置を講ずるとともに、災害関連保証の発動による金融支援など、被災中小企業・小規模事業者の事業再開・継続に向けた支援策を講ずること。

 また、新型コロナウイルス感染症等の影響により、復旧事業の完了に遅延が生じる場合もあり得ることから、財政支援を講ずること。

 さらに、被災した大企業についても、地域経済への影響が生じないよう、事業者が行う防水壁設置などの減災・防災対策に要する経費に対して、支援策を講ずること。

(5) 経営者の高齢化が進む中で事業承継が円滑に促進されるよう、事業承継・引継ぎ支援事業及び中小企業再生支援・事業承継総合支援事業の充実強化を図ること。

 また、経営者保証について、前経営者と後継者からの二重徴求を行わないなど「経営者保証に関するガイドライン」の特則に基づく適切な対応がなされるよう、一層の浸透・定着を図ること。

(6) 中小企業・小規模事業者の人材を確保するため、若者、女性、高齢者、障害者、外国人など、多様な人材がその能力を発揮できる環境を整備すること。