全国都道府県議会議長会

2 観光の再開・拡大に向けた取組について

令和4年10月25日 決定

 世界各地における新型コロナウイルスの感染拡大により、国内における旅行者、我が国を訪れる外国人旅行者が急激かつ大幅に減少し、観光関連産業は壊滅的な打撃を受けた。

 こうした中、我が国では本年6月から約2年ぶりとなる外国人旅行者の受入れを再開し、先般、入国者数の上限撤廃等がなされた。

 急速に円安が進み、外国人旅行者の消費を後押しする好機でもあり、インバウンドの回復に向けた施策を強力に実施し、より一層の集客を図り、観光消費額の増加、地方への誘客促進に繋げる必要がある。

 また、国内旅行についても、効果的な観光需要の喚起策を実施し、壊滅的な打撃を受けた観光関連産業の早期回復を図る必要がある。

 さらに、近年、地震や台風、集中豪雨など、全国各地で深刻な災害が相次いでおり、被災地域の観光産業の復興に向けた支援も必要である。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 国内旅行については、観光需要の喚起を図るため、積極的に施策を実施すること。

 また、コロナ禍を契機として、個人旅行やアウトドア活動、マイクロツーリズムの需要が増加していることから、新たなニーズに対応した観光需要の喚起を図る施策を充実すること。

 なお、全国旅行支援については、全国各地で観光消費の増大を図り、地方における地域活性化に大きな効果を得られるものとするとともに、地方の中小の宿泊施設及び旅行業者等の利用や平日及び閑散期における観光についても促進すること。

 また、新型コロナウイルス等への感染防止対策については、安全・安心な観光施策を推進できるよう感染状況に十分留意しながら、適切に実施すること。

(2) 新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだインバウンドを回復、拡大させるため、地方における誘客促進に向けた取組への支援を充実・強化すること。

 また、外国人旅行者の観光消費を促すよう、宿泊施設や観光施設の改修など、観光地の面的再生・高付加価値化に向けた取組に対して継続的な支援を充実すること。

 なお、外国人旅行者の観光ツアーを実施する場合には、感染対策について旅行業者が負担なく役割を果たせるように支援を講ずること。

(3) 新型コロナウイルス感染症により打撃を受けた観光会社、宿泊業など観光関連産業に対して、事業継続のための資金繰りや雇用確保、感染防止の取組に係る支援を引き続き講ずること。

(4) 多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなど(MICE)の誘致に対する支援を充実すること。

(5) 魅力ある観光地の形成促進のため、伝統、文化、景観など地域資源の活用・保全等に対する支援を充実すること。

 また、観光地域づくりの舵取り役を担う法人(日本版DMO)や広域観光周遊ルートの形成に対する支援を充実すること。

(6) 査証(ビザ)要件の更なる緩和を図るとともに、地方空港及び港湾における税関・出入国管理・検疫(CIQ)の体制を整備・拡充すること。

(7) 無料Wi-Fi環境の整備、多言語による情報提供の充実、キャッシュレス決済の環境整備、客室等のバリアフリー化、観光地までの交通手段の充実、災害時における迅速な情報提供など、訪日外国人が旅行しやすい環境の整備を更に推進すること。

(8) 令和2年7月豪雨、昨年2月及び本年3月の福島県沖を震源とする地震等の被災地域における観光施設の早期復旧に向けた重点的な支援を講ずるとともに、風評被害を防止するため、地域の現状に関する正確な情報発信や、観光プロモーションなど誘客のための取組に対して十分な支援を講ずること。

(9) 国際観光旅客税については、これまでも地方公共団体が観光資源の魅力向上等に対し、様々な取組を行っていること等を踏まえ、その税収の一定割合を、自由度が高く創意工夫を活かせる交付金等により地方に配分すること。