全国都道府県議会議長会

4 鉄道の整備促進及び地域鉄道の確保・維持等について

令和4年10月25日 決定

 新幹線、在来線等を中心とする鉄道は、我が国における基幹的な交通手段として重要な役割を担っており、その整備充実は、地域の自立的発展と経済の活性化、さらには、災害に強い強靱な国土づくり等を図る上で必要不可欠なものである。

 また、今後の地域鉄道を中心とした地域公共交通機関のあり方については、地域の特性に根差したより利便性と持続可能性の高い輸送サービスの実現に向け、必要な支援を講じていく必要がある。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 整備新幹線の早期完成に向けて、整備を促進し、十分な財源を確保すること。

 また、地方負担軽減のための十分な財源措置を講ずるとともに、未着工区間の早期着工を図ること。

 さらに、地震等の災害に備え、徹底した安全運行の確保や停車駅における乗換利便性の向上策など、諸課題の解決を早期に図ること。

(2) 基本計画路線については、決定されてから40年以上経過した今でも進展が見られないことから、必要な調査を実施するとともに、速やかに整備計画を策定し、早期着工を図ること。

(3) 整備新幹線の開通に伴い経営分離される並行在来線は、単に限られた地域住民の足としてのみ利用されているものではなく、多数の貨物列車が走行し、国の物流政策や大規模災害時における物資輸送上極めて重要な役割を果たしていることから、将来にわたり安定的な経営を維持できるよう、初期投資に対する財政支援を充実するとともに、開業後の運営費に対する財政支援を講ずること。

 また、並行在来線の経営安定維持のために、地方負担の軽減等について、これまでの枠組みの見直し・再検証を速やかに行い、JRからの協力・支援の在り方や並行在来線の赤字解消分も含まれている貸付料の活用、貨物調整金の見直しなど、法制化の可能性も視野に入れ、新たな仕組みを早急に構築するとともに、地元自治体による補助等に対する交付税措置の拡充、乗継割引に対する財政支援制度の創設など支援を充実すること。

(4) 在来線の高速化及び複線化等の機能強化や輸送改善を図るとともに、電化等の整備により輸送力の増強に努めること。

 また、都市鉄道については、相互直通運転等による更なる利便性向上を図ること。

(5) 特定地方交通線や地方鉄道新線を引き受けた第三セクター鉄道及び中小民鉄などの地域鉄道の鉄道防災、車両更新、交通施設バリアフリー化を促進するとともに、経営安定化対策を充実すること。

 また、地域の経済社会活動の基盤として重要な役割を果たしている地域鉄道の活性化・再生に向けた利用促進等の取組に対する支援を充実すること。

(6) 鉄道路線は、住民の日常生活を支える重要な交通基盤であり、地域経済の活性化を図るためにも重要な役割を担っていることから、利用者減少による不採算を理由とした大幅な減便、路線廃止が行われることがないよう、鉄道事業者に対する実効性のある支援等を講ずること。

 なお、公共交通の確保に当たっては、利用者の視点に立ち、地域の実情に合わせた地域交通体系の構築が可能となるよう、法整備等も含め、必要な支援を図ること。

(7) 踏切事故防止対策や安全保安設備の充実、ホームドアや内方線付き点状ブロックの整備促進への支援など、安全な輸送を確保するための施策を更に推進すること。