全国都道府県議会議長会

全国都道府県議会議長会創立100周年宣言

令和5年7月18日 決定

                 全国都道府県議会議長会創立100周年宣言

           −真の地方自治の実現と更なる都道府県議会の活性化を目指して−

 本会は、大正12(1923)年3月16日、各都道府県議会間の連絡を保ち、地方自治の発展を図ることを目的として創立され、本年で100周年を迎えた。

 戦前から、中央集権を危惧し、真の地方自治の確立に向けた制度改正を訴えるとともに、地方財政が窮乏する中、地方税財源の安定的確保を実現してきた。

 個別の政策分野においても、住民福祉に立脚した公害行政、後進地域の特例措置など国土の均衡ある発展、災害復旧対策の強化を強く訴え、制度の拡充を実現してきた。

 平成12年には地方分権一括法の施行により、本会が主張してきた機関委任事務制度の廃止が実現し、地方議会の役割と責任がますます重要となったが、議長が議会を招集できる制度とするなど、真の地方自治を実現するための更なる議会制度の改革が必要である。

 本年4月には地方自治法が改正され、これまで組織や役割が明確でなかった地方議会について、

 〇議会は、住民が選挙した議員をもって組織されること

 〇議会は、議決により地方公共団体の重要な意思を決定すること

 〇議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行うこと

が明文化された。

 地方議会が意思決定を行うという重要な役割と重い責任が明確化されたことをしっかり受け止め、議会及び議員活動に取り組んでいかなければならない。

 一方で、地方議会は、議員のなり手不足や議員の性別、年齢構成の偏りなどの課題を抱えており、議会活動について、更なる改革に努めるとともに、議会とは何かを住民にしっかり御理解いただくことが必要である。

 議員の構成が、住民の構成と比較し著しく多様性を欠く状況は、住民の関心が薄れることにつながりやすい。女性や若者、勤労者などの多様な人材の地方議会への参画を進めるため、国に対して、立候補に伴う休暇の保障や厚生年金への地方議会議員の加入などを要請してきたが、立候補環境の改善のための取組を強化していく必要がある。

 また、社会のデジタル化が進む中で、デジタルツールを活用し、議会から住民へのわかりやすい情報提供や、議会と住民との双方向コミュニケーションを進め、政策議論を更に活性化させていかなければならない。

 今、まさに時代の転換期にあり、少子化対策や社会保障の充実、人材不足の解消など、我が国が抱える構造的な問題を地方の目線で解決すべく、地方の思い、現場の声を国に直接届け、政策の実現につなげていかなければならない。

 新たな100年に向けて各都道府県議会が一致結束し、住民自治の根幹をなす地方議会としての役割を果たしていくという強い決意の下、特に重要な次の事項について、全力を尽くすことをここに宣言する。

1 活発な政策議論を通して地方公共団体の重要な意思を決定し、広く住民に対する説明責任を果たすとともに、主権者教育の一層の促進など議会に対する関心を高め、理解を深める取組を強化する。

2 紙面による広報や対面による意見交換会などに加え、デジタルツールを活用した議会活動に係る情報発信の充実、多様な住民の意思の把握等に努めるなど、住民に開かれた議会のための取組を推進する。

3 女性や若者、勤労者など多様な人材が参画できるよう、議員活動と家庭生活との両立支援やハラスメント防止に関する取組などの環境整備に取り組む。

4 多様な人材が参画し住民に開かれた活力ある地方議会を実現するため、議会審議の活性化や政策立案機能の強化等を図る調査研究を絶えず行い、先進的な事例と併せ情報の共有を図る。

5 時代の転換期であることを十分認識し、危機的状況にある少子化への対策、DX・GXへの対応、疲弊した地域の活力の維持、東京圏一極集中の是正、慢性的な人材不足の解消など山積する重要課題の解決に向けて、地域の持続性と魅力を高めるための政策の実現に向け、国に対しあらゆる機会を通じ要請を行っていく。

 令和5年7月18日

                               全国都道府県議会議長会創立100周年記念式典