全国都道府県議会議長会

地方議会に関する地方自治法改正を踏まえた 多様な人材が参画するための環境整備等に関する決議

令和5年10月26日 決定

 先の通常国会において、本会をはじめとする三議長会が最重要課題として国に要請を行ってきた「地方議会の役割及び議員の職務等の明確化などを内容とする改正地方自治法」が成立し、

  〇議会は、住民が選挙した議員をもって組織されること

  〇議会は、議決により地方公共団体の重要な意思を決定すること

  〇議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行うこと

が明文化された。

 地方議会は、投票率の低下や無投票当選の増加、議員の性別や年齢構成の偏りなどの課題を抱えており、この法改正を踏まえて、議会とは何かを住民にしっかり理解いただき、女性や若者など多様な人材の議会への参画を一層進めていくことが必要である。

 そのためには、本年7月18日に採択した創立100周年宣言に基づき、各議会が更なる改革に努め議会の活性化を図り、議会の重要な役割について将来の地方自治を担うこどもたちを含め、広く住民に理解が得られるよう取り組んでいかなければならない。

 中でも、いわゆる主権者教育の取組は重要であり、地方議会に関する地方自治法改正を踏まえた主権者教育に国民運動として、三議長会が連携して取り組んでいくことが必要である。

 また、デジタル化が進む中で、より住民に開かれた議会を実現するため、デジタルツールを活用し、議会から住民へのわかりやすい情報提供、議会と住民との双方向コミュニケーションにより政策議論が更に活性化するよう取り組むとともに、多様な議員が活躍できる環境整備を行っていくことが一層重要となっている。

 これまで三議長会では、多様な人材の地方議会への参画のため、経済団体に企業等の就業規則において立候補に伴う休暇制度を設けることについて要請するとともに、国に対して、立候補に伴う企業等による休暇の保障や厚生年金への地方議会議員の加入など立候補環境の改善のための法整備を行うことなども要請してきた。

 また、地方分権改革により地方議会の役割がますます高まっており、議会がその責任を果たしていくためにも、議長が議会を招集することを可能とするなど、更なる議会制度の改革も必要である。

 人口減少や高齢化など社会を取り巻く環境が更に厳しさを増す中、住民自治の根幹をなす地方議会として、多くの住民の声を集約し、多様な人材が参画するための環境整備等を図るため、特に重要な次の事項について、早急に実現するよう強く求める。

1 議会に対する関心を高め、理解を深める主権者教育を一層推進すること。推進に当たっては、「地方議会が地方公共団体の重要な意思決定を行う」など地方議会の役割等が明確化された今回の地方自治法改正を反映したものとすること。

2 いわゆる出前講座や模擬議会など、議会自らが主体的に行う主権者教育の取組に対する支援を講ずること。

3 議会のデジタル化への取組について技術的・財政的に支援を行うこと。

4 オンラインによる本会議への出席については、第33次地方制度調査会答申で指摘された課題について検証と検討を行い、その実現に向けて所要の措置を講ずること。

5 立候補に伴う企業等による休暇を保障し、不利益な取扱いを禁止するための必要な法改正を行うこと。

6 議長への議会招集権の付与、予算修正権の制約の見直しなど、更なる議会制度改革を行うこと。

以上、決議する。

 令和5年10月26日

                                        全国都道府県議会議長会