全国都道府県議会議長会

15 ひき逃げ事件等の交通事故に関する取組の推進について

令和5年10月26日 決定

 交通事故の発生件数や死傷者数は減少傾向にあるものの、尊い命が犠牲となる痛ましい事故が後を絶たない状況にある。また、ひき逃げ事件も多数発生する中で、救護措置をとらずに逃亡したことにより、被害者が後続の車にひかれ死傷する事件も発生しており、道路交通秩序の維持に係る施策を推進する必要がある。

 また、ひき逃げ事件は、過失運転致死傷罪のほか危険運転致死傷罪も視野に入れて捜査するが、適用する罪名は都道府県警察が個々の事案ごとに法と証拠に基づき判断している。しかし、その判断に係る明確な基準や指針がないことから、同様のひき逃げ事件であっても、適用する罪名に違いが生じることとなり、国民に分かりにくく、また、被害者や遺族の理解を得にくいものとなっている。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 客観的な証拠に基づいた事故原因の究明や、ひき逃げ事件の早期検挙を図るため、交通捜査員の捜査能力を向上させる研修等を実施するとともに、常時録画式交差点カメラや3Dレーザースキャナ等の装備資機材の整備及び活用などの取組に対する支援を充実すること。

(2) ひき逃げ事件における都道府県警察の罪名の適用判断について、被害者、遺族及び国民が理解しやすいものとなるよう、判断に係る基準や指針について明確化すること。

(3) 運転中に接触等の異変を少しでも感じた場合には事故が発生したという認識に立ち、救護措置義務を果たすため直ちに停止し、確認するという意識を醸成するとともに、飲酒運転やあおり運転等は重大な交通事故につながる極めて悪質・危険な行為であるとの認識を広めるため、交通安全教育を徹底すること。