全国都道府県議会議長会

3 企業の地方移転と雇用創出の推進について

令和5年10月26日 決定

 地方に人を呼び戻すという地方創生の目的を実現するためには、女性や若者の地方への定着を促進する支援の充実や、定住に必要な雇用の場となる産業の振興を図ることが重要である。特に、地方では人口減少と少子高齢化によって地域社会の活力が低下していることから、雇用の創出を促進する必要がある。

 こうした中、新型コロナウイルス感染拡大により、働く場所を問わないテレワークが広がり、東京圏から地方への人や企業の転出の動きが見られたが、この動きをコロナ禍だけのものとせず、更に拡大させる取組を進めていくことにより、地方の雇用創出にとどまらず、企業の連携による人やビジネスの交流から相乗効果も生まれ、地域経済の持続的発展が期待できる。

 一方、新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ情勢の影響により、世界規模でのサプライチェーンの寸断が拡大し、特定の国・地域に生産拠点が集中する体制の脆弱性が顕在化した。

 昨年5月には経済安全保障推進法が成立し、重要物資の安定供給体制強化が図られることとなったが、地方に生産拠点を設置し、新たなサプライチェーンを構築、強化することで、地域に雇用を創出するという、地方創生の観点からの施策が必要である。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 女性や若者を中心とする多様な人材がやりがいを持ってその能力を発揮でき、都市部に引けを取らない給与水準を持つ魅力的な雇用が地方で創出されるよう、企業の地方移転や地方にある企業の機能強化に対する支援の拡充、企業誘致の取組に対する支援の拡充、地域の新事業創出に向けた総合的支援策の充実強化など地域経済の再生と更なる発展に資する施策を推進し、女性や若者等の地方への定着を図ること。

(2) 特定国・地域に過度に依存しないサプライチェーンを構築するため、生産拠点を国内に回帰させる取組を促進するとともに、その際には、東京圏一極集中の是正を図るため、地方の生産拠点機能を強化させる取組を推進すること。

 また、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金については、中小企業への支援の拡充・継続を行うこと。

(3) 半導体産業や航空宇宙産業等の成長産業について、地方における産業立地や人材育成等に関する支援を強化すること。