全国都道府県議会議長会

5 生活環境保全対策の推進について

令和5年10月26日 決定

 我が国においては、循環型社会の実現、水環境の保全、災害廃棄物処理など、多くの環境問題が山積している。

 地方においては、これらの課題を解決するため、率先して地域の実情に応じた取組を実施しているが、今後も国・地方が一体となって積極的に環境問題に取り組んでいくことが求められている。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) プラスチックごみによる環境汚染を防止するため、代替素材の開発及び利用によるプラスチックの使用削減、プラスチック製品の再使用を促進し、プラスチックごみの排出抑制を図ること。

 また、漂流ごみと海底ごみの効果的な分別回収、リサイクル及び不法投棄の監視による海洋への流出抑制の取組に対する支援等、各種対策を強力に推進すること。

(2) 鳥獣被害防止対策については、各地域の被害実態に即し総合的、計画的に推進されるよう、引き続き「鳥獣被害防止総合対策交付金」及び「指定管理鳥獣捕獲等事業費」について、安定した財源確保を図ること。

 また、新たな捕獲等の担い手の育成・確保に対する支援を充実すること。

(3) 保全再生計画に基づく施策を推進している琵琶湖を始めとする湖沼及び海域環境改善に向けた対策に取り組んでいる有明海・八代海など内海の水環境がもたらす恵みや自然循環作用を次世代に継承するため、閉鎖性水域における水質や自然環境・景観の保全、水源かん養、環境保全型農業、漁場環境改善等の施策を総合的に推進するために、支援を充実すること。

(4) 水俣病対策については、今後も被害者の救済等を円滑に進めるため、認定業務を迅速かつ適切に進めるための方策を講ずること。

 また、水俣病発生地域の医療と福祉の連携、再生・融和(もやい直し)の促進や地域振興等の着実な推進を図るとともに、所要の財源を確保すること。

 さらに、救済措置に係る関係地方公共団体においては、医療費等の財政負担が増加していることから、支援を充実すること。

(5) 大規模災害時に発生する膨大な量の災害廃棄物を円滑に処理するため、都道府県を越えた広域処理体制を構築するとともに、災害廃棄物処理に係る補助金制度について柔軟な運用及び被災市町村への十分な財政支援を講ずること。

 また、災害廃棄物の広域処理の調整を迅速に進めるため、災害廃棄物を自区域内で処理し、生活ごみを広域的に処理する場合においても、追加的に発生する経費に対して財政支援を講ずるなど、地域の実情に応じた柔軟な支援を行うこと。