全国都道府県議会議長会

7 特定地域振興対策等の推進について

令和5年10月26日 決定

 過疎地域、山村、豪雪地帯、半島、離島等の地域は、食料、水及びエネルギーの安定供給、災害の発生防止、地球温暖化防止、多様な文化・伝統の継承、良好な景観の形成など多面的な機能を有しており、国民生活に豊かさと潤いを与えている。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大により東京圏への一極集中の弊害や大規模災害のリスクが顕在化したところであり、これらの地域が担う役割はより一層重要なものとなっている。

 しかしながら、これらの地域においては、人口減少、少子高齢化の進行など他の地域と比較して厳しい社会経済情勢が長期にわたり継続していることから、ハード・ソフト両面にわたる総合的な特定地域振興対策を引き続き強力に推進するとともに、十分な財政措置を講ずる必要がある。

 とりわけ、地域公共交通の維持・確保は、住民の豊かなくらしの実現や地域の社会経済活動に不可欠であることから、持続可能な地域公共交通の実現に向け、デジタル技術を活用するなど、早急な対応が求められている。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

(1) 「離島振興法」に基づき、ハード・ソフト両面にわたる総合的な離島振興策を充実すること。なお、有人国境離島については、領土保全という重要な役割を考慮し、特別措置法に基づき保全を図るとともに、雇用機会の拡充、観光振興など地域社会の維持に関する特別な支援を充実すること。

 また、離島航路・離島空路の維持・安定化のための支援策を拡充すること。

(2) 地方バス路線の確保・維持を図るとともに、廃止路線代替バスやスクールバス等の各種バスの一体的運行、公共交通の空白地域における自家用有償旅客運送、コミュニティバス、乗合タクシーの導入に対する支援など、地方の生活交通確保対策を充実すること。

 また、運転手など担い手不足の解消や地方における高齢者等の移動手段確保のため、新技術を活用した自動運転の導入など、公共交通の高度化への支援を充実すること。

(3) 「豪雪地帯対策特別措置法」に基づき、道路の除雪、防雪、凍雪害防止など、冬期道路交通対策を着実に推進すること。なお、大雪による高速道路での大規模な車両滞留の解消に長時間を要したことを踏まえ、計画的・予防的な通行規制、集中除雪体制の強化、滞留状況を正確に把握できる体制確保などの対策を講ずること。

(4) 脱炭素化に資する電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)等について、EV充電設備や水素ステーションの整備等により普及を促進するとともに、脱炭素化、健康増進などに資する自転車の利活用を推進するため、自転車通勤を奨励する事業者に対する支援の充実、自転車専用道路の整備、観光目的を含めたサイクリストの受入環境の整備、交通法規・マナーの啓発などを図ること。

 また、住宅・建築物における外壁や窓の断熱性能の強化などの省エネ対策、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー導入を促進すること。