全国都道府県議会議長会

令和6年能登半島地震からの早期復旧・復興に関する決議

令和6年1月26日 決定

 令和6年1月1日に最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」は、石川県をはじめ富山県、新潟県、福井県など我が国の広い範囲に大きな被害をもたらした。

 特に、石川県能登地方の被害は甚大であり、236名の尊い命が失われ、倒壊家屋は把握できないほど多く、未だ19名の安否不明者がいる上、避難者は約1万名に上る。

 発災直後から、救助、道路啓開、人的支援、プッシュ型の物資輸送など、政府をあげた支援により、状況は改善しつつあるが、未だに、電気、上下水道、通信網などのライフラインが十分回復しておらず、特に上下水道については、損傷が激しく復旧には、まだ長い時間を要する。幹線道路の通行止め箇所も多数あり、迅速な復旧作業や支援物資の輸送の妨げとなっている。

 また、今後は、避難の長期化が予想される被災者への支援、住まいの提供などの生活再建、さらには観光や伝統工芸、農林水産業など地域を支える産業の復興などが必要である。

 過疎・高齢化が進んでいる能登地方では、一昨年、昨年、そして今回と連続して大きな地震に見舞われており、懸命に立ち上がろうとしていた方々は再起への意欲を失いかねない状況である。

 こうした実情等を踏まえ、能登地方はもとより、全ての被災地が一日も早く復旧・復興を成し遂げるためには、国による一層の支援が不可欠である。

 よって、次の措置を講ぜられたい。

1 インフラの早期復旧等

(1)国による権限代行も含めた国道249号、能越自動車道等の幹線道路、能登空港、のと鉄道等の広域交通インフラ、河川、砂防、港湾などの公共土木施設、漁港等の農林水産業施設、病院・福祉施設、文教施設、文化財等の早期復旧支援

(2)円滑な災害廃棄物処理に向けた支援や廃棄物処理施設の早期復旧支援、被災した家屋等の解体撤去に対する支援対象の拡大

2 被災者に対する生活支援

(1)災害応急対応及び本格復旧に向けた十分な人的支援

(2)食料・飲料水、生活物資等の十分な確保と円滑な供給支援の継続

(3)電気、通信網及び現時点で復旧の見通しが立っていない上下水道等のライフラインの早期復旧と復旧までの生活環境の早期改善

(4)感染症や災害関連死などの二次的健康被害の防止にも配慮した避難所運営への支援

(5)仮設住宅・みなし仮設住宅への財政的・手続き的支援

(6)心身のケアなどの健康管理・精神保健活動への支援

(7)被災した児童生徒等の教育機会の確保

3 被災地の復旧・復興に向けた支援

(1)被災者生活再建支援金の支給対象や適用地域の拡大

(2)伝統産業、観光産業、農林水産業等の基幹産業や地域のくらしを支える中小企業・小規模事業者等の早期復旧・事業再開への支援及び雇用の維持

(3)地方が行う災害復旧に係る財政需要に対する補助制度の創設・拡充、地方負担に対する十分な交付税措置などの財政支援

(4)創造的な復興に係る財政需要に対する補助制度の創設・拡充、復興基金の創設をはじめ、地方負担に対する十分な交付税措置などの財政支援

(5)頻発する能登半島を震源とする地震の調査研究の早期実施

(6)液状化等による被害に関する技術的・財政的支援など被災地の実情を踏まえた支援

以上、決議する。

 令和6年1月26日

                                        全国都道府県議会議長会