全国都道府県議会議長会

道徳教育と江戸しぐさ

議長写真
平成24年6月
埼玉県議会議長

小島 信昭




 平成24年3月に第114代埼玉県議会議長に就任いたしました小島信昭でございます。

 議長就任以来、県議会にお寄せいただく720万埼玉県民の皆様の期待をひしひしと肌で感じております。二元代表制の一翼を担う議会として、政策立案機能や監視機能を強化し、県民の負託を受けた議員が、知事をはじめ執行部と十分に議論を尽くせるようにしていきたいと考えています。

 私は、平成12年に埼玉県議会議員に初当選し、現在4期目ですが、これまで特に力を入れてきたことは「教育問題」です。初当選の時に、私には幼い3人の子どもがおり、正に子育て世代だったこともその一因です。

 「教育問題」といっても幅広い分野があります。私は、地元の小中学校の入学式や卒業式などに来賓として招かれることが多々ありますが、学校行事における国旗掲揚や国歌斉唱など、当たり前のことができておらず、道徳やマナーを身に付ける教育がなおざりにされていると感じていました。学力や体力の向上はもちろん必要ですが、社会の一員としての判断や態度、適切な行動様式を身に付けるための道徳教育が最も重要であるとの思いから、これまで重点的に取り組んできました。

 さて、「江戸しぐさ」という言葉をご存じでしょうか。「しぐさ」は「仕草」ではなく、「思草」と表記します。当時世界最大級の大都市であった江戸で暮らす人々は、知らない人とも上手に関わり合うマナーを工夫していました。それが「江戸しぐさ」と言われるものです。例えば、人混みですれ違うときに、お互いがぶつからないように自分の肩を引いて、体を斜めにして通り過ぎる『肩引き』、道の真ん中ではなく端を歩くことで、急いでいる他人のために道の7割を空けておく『七三の道』、初対面の人には年齢、職業、地位の三つは聞かないという『三脱(さんだつ)の教え』、そのほか『傘かしげ』、『うかつあやまり』などがあります。人間関係を円滑にするための江戸人の智恵を今に活かそうという観点から、この「江戸しぐさ」を一部小中学校の道徳の時間に取り上げる動きが広がっているそうです。

 教育問題に話を戻しますが、昨今、教育基本法の改正や、武道の必修化など、教育改革の成果が少しずつ表れてきています。これは、地方議会が行ってきた国に対する意見書の提出や要望などといった、地道な活動の成果であり、私としてはうれしい限りです。今後も、日本人として他ひ人とを思いやる気持ちを育てる道徳教育の推進に、積極的に取り組んでいこうと決意を新たにした次第です。

埼玉県議会議長
小島 信昭(こじま のぶあき)

プロフィール

生年月日

昭和40年9月5日

主な議員歴

平成12年6月〜
埼玉県議会議員(現在4期目)
総合政策委員長、公社事業対策特別委員長、地方分権・行財政改革特別委員長等を歴任
平成24年3月
第114代埼玉県議会議長に就任