全国都道府県議会議長会

温故知新 コロナ禍に想うこと

議長写真
令和3年12月
岡山県議会議長

神宝 謙一




 今年5月に第72代岡山県議会議長に就任いたしました神宝謙一でございます。

 私が議長に選出された5月14日は、岡山県に2度目の緊急事態宣言が出されたまさにその日でした。過去に類を見ないコロナ禍という大嵐の中、二元代表制の一翼を担う議会の舵取りを任されるという責任の重さに、身の引き締まる思いをしたことを鮮明に覚えています。

 私の座右の銘は論語の一節にある「温故知新」という四字熟語で、過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくという意味があります。いま、新型コロナウイルス感染症の猛威によって、世界全体が生活様式や価値観の変化を余儀なくされ、人と人との繋がりが絶たれ、日常生活が脅かされています。私たちは先が見えない不確実な時代を、これまで経験したことのない不安の中、生きていかなくてはなりません。そうした不安を取り除き、すべての県民の安心・安全な生活を守り、誰もが楽しく笑顔で、より良い暮らしができるようにするためには、過去の事実をよくよく研究し、今、突き当たっている問題や新しい課題に立ち向かう「温故知新」が必要であると考えます。

 さて、本県議会では、議会改革の一環として10年前から、議長を会長とする地域公共政策研究会を設置しています。具体的な政策課題の解決に向けた立案の参考とするため、大学の研究者や地域活動の実践者など幅広い分野の講師をお招きし、年2回セミナーを開催しています。今年9月のセミナーでは、若年性認知症の当事者や認知症の人を支える活動をしている実践者に直接お話を伺い、認知症施策について理解を深めました。

 一方、昨今のDX推進の流れの中で、本県議会のデジタル化についても、大きな課題であると認識しております。先月、議会運営委員会の調査で、山梨県議会と静岡県議会のペーパーレス化の取組を視察させていただき、たいへん関心いたしました。こうした取組を参考として、本県議会のデジタル化を一層推進していきたいと考えています。

 このように、専門家のお話や先進自治体の取組を参考として、学び、自らの活動に生かすことも「温故知新」と言えるのではないでしょうか。

 ウィズコロナの時代にあって、地方議会は、これまで以上に県民の声を代弁しその思いを伝えていかなければなりません。過去の出来事を参考とする「温故知新」だけでなく、デジタル技術の活用など新しい知見も取り入れながら、県民に寄り添った議会運営に取り組んでまいります。

岡山県議会議長
神宝 謙一(しんぽう けんいち)

プロフィール

生年月日

昭和28年8月6日

主な議員歴

平成15年4月30日〜
岡山県議会議員に初当選(現在5期目)
農林水産委員会委員長
監査委員
議会運営委員会委員長を歴任
令和3年5月14日
第72代岡山県議会議長に就任