全国都道府県議会議長会

会長退任に当たって

議長写真
令和5年4月
前秋田県議会議長

柴田 正敏




 第73代会長の柴田正敏でございます。

 令和5年4月29日の議員任期満了に伴い、会長職を退任いたしました。これまで、御支援・御協力をいただきました役員をはじめ正副議長、議員の皆様には感謝申し上げます。

 令和3年7月の会長就任の際は、東京に緊急事態宣言が発令されるなどまさにコロナ禍の真っ只中でした。その後、ウィズ・コロナ社会へ段階的に移行してきましたが、ロシアによるウクライナ侵攻や急激な物価高騰などが生じるなど、これまでにない社会情勢の変化がありました。このため地方においては、感染拡大防止や地域経済回復に向けた対策などを早急かつ的確に行う必要がありましたので、国に対し適時適切に要請等を行ってまいりました。

 また、東京圏一極集中の是正や少子化対策の強化につきましては、本会の重点課題として取り組み、「国と地方の協議の場」など政府・与党の会議において強力に要請してきたところです。国において、令和9年度に東京圏への転入超過を解消する目標が掲げられたほか、4月7日に設置された「こども未来戦略会議」でこども・子育て政策の強化について議論されておりますが、これらが骨太方針に確実に盛り込まれるよう、本会として引き続き要請等を行う必要があると考えます。

 地方議会に関しては、本会では、これまで「地方議会の位置付け、議員の職務等の地方自治法での明文化」をはじめとする重要かつ喫緊の課題について、市及び町村議長会とも連携しながら、政府・与党等へ精力的に要請を行ってまいりました。

 このうち、「議員に係る請負に関する規制の明確化及び緩和」等については、昨年の臨時国会に地方自治法改正法案が議員立法で提出され、昨年12月10日に成立し、実現いたしました。

 さらに、「立候補に伴う企業等による休暇保障」については、去る1月26日に、総務省並びに市及び町村議長会とともに、日本経済団体連合会などに対し要請を行いました。

 そして、最重要課題である「地方議会の位置付け、議員の職務等の地方自治法での明文化」については、昨年12月28日に岸田総理に提出された第33次地方制度調査会答申を踏まえ、政府が、3月3日に地方自治法改正法案を国会に提出し、4月26日に成立いたしました。

 この法案は、「住民の負託を受けた議員で構成される地方議会が地方公共団体の意思決定を行うこと」を明確にするもので、議会・議員の重要な役割を住民に御理解いただくきっかけになるとともに、女性や若者等多様な人材の地方議会への参画につながるものです。

 今後は、この地方自治法改正で規定された、地方公共団体の意思決定を行うという地方議会の役割・責任、住民の負託を受けた議員としての職務の重要性を踏まえ、活力ある地方議会となるよう、取り組んでいくことが重要です。

 折しも、全国都道府県議会議長会は令和5年3月16日に創立100周年を迎えました。今後、新しい100年に向け議長各位の連携・協力の下、各都道府県議会を支え、牽引する組織として発展することを期待します。

 結びに、皆様の御多幸と御健勝を祈念いたしまして、会長退任の御挨拶とさせていただきます。

前秋田県議会議長
柴田 正敏(しばた まさとし)