全国都道府県議会議長会

「復興加速年」における岩手県議会の取組について

議長写真
平成25年6月
岩手県議会議長

佐々木 博




 平成23年3月11日に発生した東日本大震災に際しましては、全国の皆様から多大な御支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 一昨年9月に岩手県議会議長に就任以来、本県議会では、震災からの単なる復旧ではなく、未来に向けた創造的な復興のモデルとなるよう議論を尽くしてきたところであります。

 本県では、今年度を「復興加速年」と位置付け、災害公営住宅の整備など全力で復興を推進しておりますが、被災者の3割以上の方が生活の回復に対する実感をいまだに持てないとされていることから、今後、議会として現地の課題を引き続き的確に把握し、よりきめ細かな政策提言を行うなど、全力で取り組む所存です。

 一方、本県の財政状況に目を転じますと、社会保障関係経費の自然増や、過去の経済対策等に伴い発行した県債の償還が数年内にピークに達することなど、これまでにも増して厳しい局面を迎えることが見込まれており、今後、財政基盤の充実強化を図り、持続可能な地域社会を形成していくうえで、我々地方議会の果たす役割は、一層重要であると認識しております。

 これまで、本県議会は、全国に先駆けて政務調査費(現政務活動費)に関する全支出の領収書の添付を義務付けるなど、開かれた議会の推進に努めて参りました。また、平成20年に制定した議会基本条例に基づき、議会改革推進会議や広聴広報会議の設置、政治倫理条例の制定、議員別の議案の賛否状況の公表、一般質問における一問一答方式の導入などに取り組んできたところです。特に、平成21年度から実施してきた「本音で語ろう県議会」は、今年度で全市町村を一巡する予定であり、今後一層、県民の視点に立ち、その声が県政に反映されるよう議会改革に邁進する必要があります。

 平成5年6月に国会が地方分権の推進に関する決議をし、今年で20年を迎えました。時折しも道州制の議論がなされている中にあって、国と地方の役割を見直し、地方への権限移譲と税財源の充実強化などをうたったこの決議の意義を踏まえ、真の地方自治の確立に向けて、取り組んでいく必要があるものと考えております。

 最後になりますが、現在、本県では、最先端の素粒子研究施設として世界で唯一建設される国際リニアコライダーの東北誘致への県民の関心が高まっており、議会においても誘致を求める決議のほか、全議員参加の議員連盟を設立するとともに、北海道、東北各県と連携し、国への要望活動を行って参りました。我が国の科学技術の発展に寄与し、被災地に希望の光を灯し、復興の原動力となるこの誘致の実現を切に願っております。

岩手県議会議長
佐々木 博(ささき ひろし)

プロフィール

生年月日

昭和26年11月20日

主な議員歴

平成7年4月〜
岩手県議会議員(現在4期目)
総務委員長、決算特別委員長、議会運営委員長等を歴任
平成23年9月
第48代岩手県議会議長に就任