全国都道府県議会議長会

島根県の中山間地域対策について

議長写真
平成28年9月
島根県議会議長

絲原 コ康




 昨年5月に、第76代島根県議会議長に就任した絲原コ康でございます。

 島根県において、県土の87%を占める中山間地域は、地域住民の生活の場であるとともに、水や食料の供給、国土の保全、多様な生態系の維持など多面的かつ重要な機能を担っております。

 しかしながら、人口減少や高齢化が進行するにつれ、基幹産業である農林業が衰退し、地域社会の存続が危ぶまれる状況が発生しております。とりわけ、小規模で高齢化の進んだ集落では、これまで集落単位で営まれてきた活動ができないところも見られるようになりました。

 私ども、島根県議会では、これまで中山間地域の現状、課題そして活性化策について本格的に議論を重ね、平成11年3月には全国に先駆けて、中山間地域を対象とした条例を議員提案により制定するとともに、この条例に基づき、平成13年2月に最初の「島根県中山間地域活性化計画」を、本年5月には4期目となる計画(計画期間:平成28年度〜31年度)を策定し、県の最重要課題として中山間地域対策に取り組んでまいりました。

 また、平成10年4月に、我が国初の中山間地域の活性化を図るための総合研究機関として「島根県中山間地域研究センター」を設置し、中山間地域が抱える課題の調査・分析、地域振興手法の研究・開発を行うなど、この中山間地域研究センターを中山間地域対策のシンクタンクとして位置づけ、研修機能・情報発信機能の積極的な活用に努めています。

 中山間地域では、既存の集落単位では水田における共同作業や道路の草刈りなど地域を維持することが難しくなった集落もあり、県内の227地区の公民館エリア(旧小学校区)を地域運営の基本単位に設定し、多様な主体の参画による、新たな地域運営の仕組みづくりに着手しました。

 具体的には、県内の中山間地域227地区ごとに、国勢調査を基にした人口等に関するデータや交通、買い物など暮らしの条件に関するデータを集計・分析した「しまねの郷づくりカルテ」を作成し、このカルテに基づき、自分たちの地域の将来のあり方(目標)について、住民同士が話し合いを進めています。

 この取り組みは、現在国が行っている生活・福祉サービスを一定のエリア内に集め、周辺集落と交通ネットワーク等で結ぶ「小さな拠点づくり」にも通じるものであります。今後、各地区の住民間での議論により具体的な計画づくりが進められ、安心して住み続けることのできる中山間地域となるよう支援してまいります。

島根県議会議長
絲原 コ康(いとはら とくやす)

プロフィール

生年月日

昭和22年12月30日

主な議員歴

平成11年4月〜
島根県議会議員(現在5期目)
総務委員会、建設環境委員会、中山間地域・離島振興特別委員会の各委員長及び監査委員を歴任
平成24年6月
島根県議会副議長に就任
平成27年5月
第76代島根県議会議長に就任