全国都道府県議会議長会

子育て支援とネット・ゲーム依存症の関連性について

議長写真
令和2年1月
香川県議会議長

大山 一郎




 昨年4月、第91代香川県議会議長に就任いたしました大山一郎でございます。

 さて、ゲームやインターネットの過剰な使用は、アルコールや薬物の摂取に匹敵するほど脳への悪影響が指摘されており、昨年、世界保健機関は、「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定しました。特に、成長過程にある子どもたちが、「ネット・ゲーム依存症」に無防備な状態にさらされており、暴力やひきこもりなど、様々な悪影響が出ております。

 この「ネット・ゲーム依存症」と家族関係との関連性につきましては、保護者と子どもの結びつきが弱い家庭ほど、依存症のリスクが高まると言われております。そして、近年、注目されているのが、「愛着」であります。「愛着」は、保護者と幼い子どもの間に形成される持続的な絆であり、それがどれだけ安定したものとして形成されるかが、その後の対人関係に大きな影響を与え、「ネット・ゲーム依存症」の予防にもつながると考えられるようになってきました。

 本県では、「香川県健やか子ども支援計画」に基づき、結婚から妊娠、出産、子育てに至る幅広い支援に取り組んでおります。「愛着」は、保護者の乳幼児期からの安定した働きかけが不可欠であり、とりわけ大事な三歳未満の時期に保育所等への入所が増加していることについては、危惧の念を持っております。

 私は、現在の社会情勢や家庭の経済状況を考えると、子育てを行うに当たって働きやすい環境づくりの促進は理解できますが、乳幼児期という、保護者と子どもの絶対的な信頼感が形成される大事な時期に、より工夫した子育て支援が必要であると考えております。

 私は、初当選の時から、「ネット・ゲーム依存症」の問題を何度も訴えてきました。最近、世間の認識も、ようやく高まってきましたが、その対策は、遅れていると言わざるを得ず、社会全体での対策が必要な時期にきております。そこで、昨年の3月、超党派の議員で構成する「香川県議会ネット・ゲーム依存症対策議員連盟」を結成したほか、議員発議の全国初の条例制定と、本年4月の施行に向けて、専門家や関係団体等との意見交換を重ねています。

 次代を担う子どもや若者たちが、ネットやゲーム依存のために大切な人生を棒に振ることのないよう、この取り組みが全国に広がることを願うばかりです。こうした問題に全力で取り組む、香川県議会への御支援、御助言を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

香川県議会議長
大山 一郎(おおやま いちろう)

プロフィール

生年月日

昭和34年11月1日

主な議員歴

平成15年4月〜
香川県議会議員(現在5期目)
経済常任委員会、文教厚生常任委員会、総務常任委員会、総合防災対策特別委員会、行財政改革推進特別委員会、県立体育館整備等に関わる特別委員会の各委員長を歴任
平成31年4月
第91代香川県議会議長に就任