全国都道府県議会議長会

府県会から都道府県議会へ(地方自治法の制定)

1 東京都制、府県制、市制、町村制改正(昭和21年9月27日公布)

 昭和20年8月15日の敗戦により、中央集権的な地方制度を改革する必要に迫られた。

 昭和21年4月10日、戦後初の総選挙が行われ、発足した第一次吉田内閣は、連合国総司令部が日本の民主化のために地方制度を重視していることを受けて、東京都制、府県制、市制、町村制の改正案を帝国議会に提出した。これが第一次地方制度改革と呼ばれるものである。

 選挙権・被選挙権の拡充、住民の直接請求制度、都長官・府県知事・市町村長の公選、議会の権限強化、議会解散権を長に付与、選挙管理委員制度・監査委員制度の新設、北海道会法、北海道地方費法を廃し、府県と同様に取り扱う等について改正した。

 議会関係部分の概要は次のとおりである。

  1. 地方議会の解散権はこれまでに内務大臣にあったが、団体の3分の1以上の有権者の連署により解散請求ができるとされ、選挙人の過半数の同意があった時は府県議会は解散することになった。
  2. 議員定数はこれまで、(ア)都100人、(イ)道府県30〜90人、(ウ)市30〜80人、(エ)区15〜25人、(オ)町村12人〜30人であったが、住民の意思を十分反映させるため、衆議院修正により、(ア)都120人、(イ)道府県40〜100人、(ウ)市30人〜100人、(エ)区25〜45人、(オ)町村12〜30人に増員された。
  3. 法定得票数はこれまで、府県議員については有効投票総数を配当議員数で除した数の5分の1、市町村議会については6分1であったのを、衆議院と同様4分の1に衆議院で修正議決された。
  4. 議会は制限列挙された事項のほか、当該団体に重大な利害関係を及ぼす事件を条例で議決事件に指定できることとされた。
  5. これまで、都道府県会と市会は年1回、通常会と臨時会を招集することとされていたが、定例会は年6回以上招集し、会期の決定や会議の開閉は議会が自主的に決定することとされた。議員請求による招集要求の要件は議員の3分の1以上から4分の1以上に引き下げられた。
  6. 議長は投票権と表決権の両方が認められていたが、表決権のみとされた。
  7. 議会に予算の増額修正権が付与された。
  8. 書記の任命権は長にあったが、地方議会の独立性・自主性強化のため、議長が直接任命できることとされた。

2 地方自治法の制定(昭和22年4月17日公布、5月3日施行)

 第二次地方制度改革とは、地方自治法の制定である。

 政府は、第一次地方制度改革後、地方制度調査会を発足させ、地方行政に関する事項を調査審議し、地方自治法案を第92回帝国議会に提出した。同法案は、衆議院、貴族院で修正議決され、昭和22年3月28日成立、4月17日に公布された。そして、昭和22年5月3日、日本国憲法と同時に施行された。

 東京都制、道府県制、市制、町村制を統合する。

 地方自治法の制定に伴い議会関係では、参事会の廃止と常任委員会制度の設置、100条調査権の新設、機関委任事務に対する意見陳述権、請願の明文化、首長制に伴い議会からの要求による執行機関の出席義務、規則違反に対する懲罰内容の拡大、再議、専決処分の整備等注目すべき事項が規定された。

 議会関係部分の概要は次のとおりである。

  1. 議会の機能を完全にするために、国会にならって新たに常任委員会制度が設けられた。また定例会が年6回以上開かれるので、都道府県と市に副議決機関として設置されていた参事会制度は廃止された。
  2. 議会は団体の最高意思決定機関であるので、団体の事務について調査をすることができるようにし、関係人の出頭、証言、記録の提出、団体等に対する照会ができる旨規定(100条調査権)された。
  3. 機関委任事務について、議会が長に説明を要求し、または意見を述べる権利を規定した。
  4. 請願はこれまで何らの規定もなかったが、住民の基本権である請願権を明文化した。
  5. 長を初めとする執行機関は会議に出席できたが、首長制の導入により、議会から出席を求められたときのみ出席することとされた。
  6. これまでは出席停止のみ規定されていたが、国会法に準じて戒告、陳謝、出席停止、除名の4つの懲罰が規定された。
  7. 従来、議案は議員3人以上でなければ提案できなかったが、国会法に準じ1人でも提案できることとされた。
  8. 長は地方議会の議決または選挙が越権、違法であるとき、再議、再選挙に付すことができることとした。また、収支、支出に関し執行できないときの再議、法令により負担する経費等、非常災害経費、伝染病予防経費の削除、減額による再議と原案執行権、長に対する不信任議決について規定した。
  9. 従来は都道府県の場合、内務大臣の指揮を請い原案執行できるとされていたが、内務大臣の指揮権を削除した。また、委任による専決処分は議会へ報告することを義務付けた。
  10. 地方議員は、国会議員との兼職を禁止した。
  11. 選挙に関する異議には訴願または訴訟は認められていなかったが、これを認めた。
  12. 議員の辞職の手続を明確にした。
  13. 議会に書記のほか書記長の制度を設けた。