全国都道府県議会の組織、運営の実態

1.都道府県議会の組織

(1) 議員の定数
 議員の定数は、各議会の条例で定める。

(2) 議員の選挙区
 都道府県議会議員の選挙区は、(郡の区域を廃止し、)一定の要件の下で、市町村を単位として条例で定め、指定都市の区域においては、2以上の区域に分けた区域を選挙区の単位とする。また、各選挙区において選挙すべき都道府県議会議員の数は、人口に比例して、条例で定めなければならない。

(3) 議員の任期
 議員の任期は、4年となっている。

(4) 議員の兼職及び兼業禁止
 議員は、国会議員、他の地方団体の議員、地方団体の常勤職員及び短時間勤務職員等と兼ねることができない。
 また、議員は、当該都道府県に対して請負をしたり、請負をしている法人の役員を兼ねることができない。

(5) 議長及び副議長
 議長及び副議長は、議員の中から一人を選挙しなければならない。
 議長は、議場の秩序を保持(秩序保持権)し、議事を整理(議事整理権)し、議会の事務を統理(事務統理権)し、議会を代表(議会代表権)する。

2.議会の権限

(1) 議会の議決事件
 議会の議決事件には、団体意思決定事件と機関意思決定事件がある。
 団体意思決定事件とは、条例の制定・改廃や予算の議決など当該都道府県の意思決定として法的効果を持つものである。
 一方、機関意思決定事件とは、意見書の議決や決議など議事機関としての議会意思の決定を行うものである。
 議会の議決すべき事件については、地方自治法第96条第1項に制限列挙され、同条2項により条例で定めることにより議決事件を追加できることとなっている。これについては、監視機能の強化の観点から、総合計画や基本計画等を追加している例がある。

(2) 議会の検査権及び監査請求権
 議会は、当該都道府県の事務に関する書類及び計算書を検閲し、長等の報告を請求して、事務の管理、議決の執行及び出納を検査することができる。
 また、議会は、監査委員に対し、当該都道府県の事務に関する監査を求め、監査の結果に関する報告を請求することができる。

(3) 議会の調査権
 議会は、当該都道府県の事務に関する調査を行うことができ、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、関係者の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる(地方自治法第100条に定められていることから「100条調査権」とも呼ばれている)。
 なお、同関係者が、正当な理由もなく、出頭しないとき、証言を拒んだとき、記録を提出しないとき、または虚偽の陳述をしたときは、議会は告発する権限も有している。
 100条調査権は議会に認められた権限であるが、実際は、本会議の下審査機関である委員会に委託して行使されているのが現状である。
 そのほか、議会は、議案の審査又は当該都道府県の事務に関する調査のために必要な専門的事項に係る調査を学識経験者等にさせることができる(専門的知見の活用)。

(4)その他
 議会は、当該都道府県の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。

3.議会の運営

(1) 定例会・臨時会及び会期
 議会は、定例会及び臨時会である。
 定例会については、毎年、条例で定める回数招集しなければならない。
 臨時会については、必要がある場合において、あらかじめ事件を告示し、招集する。
 定例会については、年4回としている例が多いが、最近会期の見直しを行い、2回、または3回としている例もある。また、会期を長期化し、年1回としているところもある。
 また平成24年の地方自治法改正により、上記のような定例会、臨時会という区分を設けず、条例で定めるところにより毎年、条例で定める日から翌年の当該日の前日までの会期(通年の会期)とすることも選択可能となった。
 通年の会期を選択した場合、長の招集行為は一般選挙後のみであり、あとは、条例で定める日の到来をもって長が招集したものとみなされる。

(2) 議会の招集
 議会は、長が招集する。
 なお、臨時会については、長に対し、@議長が議会運営委員会の議決を経て会議に付すべき事件を示して、A議員の定数の4分の1以上の者が会議に付すべき事件を示して―招集の請求ができ、これら招集請求に対して長が招集しないときは、議長が臨時会を招集することができる。

(3) 定足数
 議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。。

(4) 議事の公開の原則
 議会は原則、公開する。
 また、そのため、会議の傍聴に関し必要な規則を設けている(本会では、昭和31年に「標準都道府県議会傍聴規則」を制定し、その後の地方自治法等の改正を受け、逐次見直しを行っている)。

(5) 議案審議の流れと会議規則
 議案審議の流れは一般的に次のとおりである。
  【本会議】@議案提出→A議題の宣告→B提案説明→C質疑→D委員会付託
  【委員会】E議題の宣告→F提案説明→G質疑→H討論→I採決
  【本会議】J委員長報告→K委員長報告に対する質疑→L討論→M採決
 議会は、会議規則に基づき運営を行っている(本会では、昭和31年に「標準都道府県議会会議規則」を制定し、その後の地方自治法等の改正を受け、逐次見直しを行っている)。

(6) 長等の出席義務
 長等は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。
 ただし、議場に出席できないことについて正当な理由がある場合において、その旨を議長に届け出たときは、この限りではない。

(7) 会派
 会派は、議会の内部において組織される議員の団体であり、特に都道府県議会の運営においては、実質的にこの会派を単位として協議され、また、議員はその所属会派の一員として活動することになる。
 会派と政党との違いは、会派の機能は議会内に限られているのに対し、政党は一定の政治活動を行う社会的存在であり、それゆえにその構成員が議員に限られていないところである。

(8) 会議録
 議長は、事務局長に書面により会議録を作成させ、並びに会議の次第及び出席議員の氏名を記載させ、又は記録させなければならない。
 なお、電磁的記録による会議録の作成も認められている。

4.委員会の組織と運営

 都道府県議会では、委員会中心主義が取られている。委員会は、本会議の下審査機関として、専門的立場から詳細かつ十分な審査を行い、各種の意見を調整し、その経過と結果を本会議に報告するものである。

(1) 常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会と委員会条例
 議会は、委員会条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。
 常任委員会は、その部門に属する当該都道府県の事務に関する調査を行うとともに、議案、請願等を審査する。
 議会運営委員会は、@議会の運営に関する事項、A議会の会議規則、委員会に関する条例等に関する事項、B議長の諮問に関する事項―に関する調査を行うとともに、議案、請願等を審査する。
 特別委員会は、議会の議決により付議された事件を審査する。
 また、これらの委員会は、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することができる。
 なお、委員会条例は、委員の選任その他委員会に関し必要な事項を定めることとされている(本会では、昭和31年に「標準都道府県議会委員会条例」を制定し、その後の地方自治法等の改正を受け、逐次見直しを行っている)。

(2) 委員会の招集
 委員会条例の定めるところにより、委員長が招集する。

(3) 定足数
 委員会条例の定めるところにより、委員の定数の半数以上の出席が必要である。

(4) 傍聴の取扱
 委員会における傍聴の取扱については、委員会条例の定めるところによる。「標準都道府県議会委員会条例」では、委員会は実質的な審査の場であるという考え方から、委員長許可としているが、議会によっては原則公開としている例もある。

(5) 記録
 委員会における記録については、委員会条例及び会議規則の定めるところによる。「標準都道府県議会委員会条例」では、上記の傍聴の取扱と関連して、会議の概要等を記載した記録を作成することとなっているが、議会によっては本会議の会議録と同じ扱いとする例もある。

5.議会事務局の組織と運営 

(1) 議会事務局
 都道府県議会には、その補佐機関として、事務局を置く。
 また、その議会事務局には、事務局長、書記その他の職員を置き、その任免権は議長が有している。
 事務局長は議長の命を受け、書記その他の職員は上司の指揮を受けて、議会に関する事務に従事する。
 なお、議会事務局の平均的な機構は、総務課、議事課、調査課、(図書室)の三課(一室)体制である。近年、調査課は、議会の政策立案機能の強化等を図る観点から、政務調査課、政策調査課という名称に改称しているところも多い。

(2) 図書室
 議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置する。
 図書室は、政府からの官報及び刊行物、他の都道府県議会からの公報及び適当と認める刊行物の送付を受け、保管して置かなければならない。